腹が減ってはセックスもできない(BL)

(チェム×クレア)



最近、クレアくん、痩せています。

いや、前からスリムだけど、

なんか、違う


「クレアくん、ダイエット、してんの?」


「えっ……」


なんとなく抱きしめたら真面目に反応するクレアくん。可愛い。

ボクより少し小さいけど背は高い筈なのに、この細さ。

ちょっと、不健康。


「だってクレアくん、細過ぎ」

「そ…そう?…ちょ、チェム…」


ぎゅうっと抱きしめると困ったような声を出すけど、しっかりボクにしがみついてるのがわかる。

そしてその細い力も。


「クレアくん、ご飯食べてる?」

「………」

「リタさん、作ってくれる、でしょ?」

「……うん」

「ネロさん、心配、してた」

「…父さんが?」

「クレアくん、悩んでるみたいだって」


柔らかい髪を撫でると、甘えるように顔をうずめてくる。

しばらくして、クレアくんは漸く重い口を開いた。


「……なんかね」

「……うん」

「急に不安になるんだ」


「明日はどうなるんだろうとか、」

「…」

「チェムを幸せにできるかなとか」


逆にボクが強く抱き締められる。

ボクの事で悩んで、ごめんねって気持ちと

大切にされてるって気持ちが、渦巻く。


「……ボク」

「………」

「幸せだよ」

「……っ」

「クレアくん、ボクの事、大切にしてくれて」


「次は、ボクが、幸せにする」



繊細な、君を。



まずはご飯から。



ね。



(終)

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

燈想 短編集 燈想 @spica_alt

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ