幕間 マリィベルちゃんの休日

マリィベルちゃんの休日


「さて、情報収集です」


「あん? 白百合の騎士団長がどういう人かって? そんなん、白百合の奴らに聞けばいいじゃねぇか」

「外からみた意見が欲しいのです」

「ほーん、そんなもんなのか? まぁいいや。白百合の団長なー、簡単に言えば厳格な人だよ。他人にも自分にも厳しい、騎士を体現してるようなお方さ。ま、それはウチの団長にも言えるんだがね」

「ふむふむ」

「だからと言って、理不尽に厳しいわけじゃないんだ。数こそ少ないが、優しく褒められたって奴も男女問わずいる。俺もその一人さ。俺は他の奴らみたいに心酔はしてねーけどな」

「心酔ですか?」

「あぁ、これまたウチの団長にも言えることだが、狂信者みたいなファンクラブがあるんだ。騎士団内にな。普段はしっかりしてる奴らなのに、こと団長達の事となると、抜剣さえする勢いだからこえーこえー」

「それは……」

「あんた、他の奴らにも聞くんなら逆鱗に触らんように気を付けなよ。俺はもう行くからさ」

「あ、引き留めてしまってスミマセン。ありがとうございました」

「いいってことよー」


「黒薔薇はこれくらいで、次は白百合ですね」


「団長の事知りたい? なに、あなた、来年の入団者かしら?」

「いえ、そうではないのですが、お噂麗しい白百合騎士団団長の事をもっと知りたくなりまして」

「ふふん、あなた、わかってるじゃない。良いわ、教えたげる。何が聞きたいの?」

「同じ白百合騎士団員からみた、団長様の事をアバウトにお願いします」

「んーそうねー、自他共に厳しいとか、時たま見せる優しさがステキとかは聞いてきただろうから……、そうだわ、取って置きの話をしましょう」

「お願いします」

「団長ね、色恋沙汰には無縁な雰囲気なんだけど、一時期こんな噂が立ったの。黒薔薇騎士団の団長と、定期的に会ってる、ってね。白百合の一員としては、黒薔薇の男共なんて野蛮で近づきたくはないのだけれど、団長の噂だもの、確認を取りに行ったのよ」

「おぉ」

「そしたらね、白百合の団長と会っているかは知らないが、定期的に居なくなる事はある、って事を話してくれたわ」

「ふむふむ」

「それから、一ヶ月くらいかしら? 白百合と黒薔薇の有志メンバーで、両団長の後をつけてみたんだけど……何人投入しても撒かれちゃってね。結局は疎らになって、今は噂すら消えちゃってるわ」

「なるほど。貴重な情報、ありがとうございます」

「いいのよ。それじゃ、情報収集頑張ってね、ギルドの受付嬢さんv」



「腐ってもエリートという事ですか……

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