第7話サンド君とマリィベルちゃんとカインさんとカイウスさんとビアンカさん
「今日で5日……。バルガー、何してんだよ……」
「ギャハハハハハ! 今帰ったぜ!」
「バルガー!? お前、今まで何して……って、カイウスさんスか……」
「おい、カイン。余計にへこんじまったぞ、どうする」
「うーん、じゃあ次はマリィベルの真似してみよっかー」
「女声は喉が疲れるんだがな……ん、んー、アーアー。あんまり落ち込まないでください、サンド君」
「うひっ……、い、いい感じだよーカイウスー」
「安心してくださいな。バルガーさんは居なくなったりしませんよ。なんなら、私がずっとそばで手を握っていてやりますよ」
「うひひひ、口調バラバラ……!」
「何を して いるの ですか?」
「うおぁ!? 本物!?」
「はい、本物のマリィベルですよ。それで、私の声を使って、何を喋っていたのかお聞かせ願います」
「あははー、僕はなにもしてないよー。じゃ、じゃあね!」
「待てカイン! 違うんだマリィベル! サンドを元気付けようとしただけなんだ! 悪気があったわけじゃない! 信じてくれ!」
「悪気が無いなら何故逃げるんですか?」
「そ、それは……、そう! 依頼あったの忘れてたんだ! 急がなくては!!」
「ご安心を。依頼の受理状況は全て把握しております」
「なんという有能さ……! 流石マリィベルだ。じゃあ俺はこれで!」
「全く……」
「ははは、2人とも心配してくれてたんだな……。よし、心機一転だ。マリーちゃん、今何か受けられる依頼とかある?」
「ふふふ、はい。見繕ってあります。お選びください」
「雨降って地固まる……でいいよな?」
「結果的にだけどねー。マリィベルもサンドも楽しそうだしいいんじゃないー?」
「しかし、バルガーの奴……、本当にどこにいるんだか」
「んー、バルガーの交友関係とか、あんま知らねーもんなー」
「よう! お二人さん! いつも仲良いな! だが、そんなところでこそこそと、何してんだい?」
「うわ! びっくりしたー。いきなり大声出さないでよー」
「心臓に悪い。これだからアマゾネスは……」
「なんだい辛気臭いねぇ……。こちとら遠征から帰ってきたばかりだってのに!」
「お前のテンションが高すぎるんだ。少しはテンションを抑えることを覚えろ。これだからアマゾネスは……」
「あーはいはい、シーフ様は静かでいいですねぇ。……ホントに静かだねぇ。天下のギルドがここまで静まり返るのなんていつ以来だろうね? なんかあったのかい?」
「流石アマゾネス。脳筋だな。周りを見渡してみろ、何も気が付かないのか?」
「んー? んー? 別にいつもと変わらない……、おぉ!」
「流石のアマゾネスでも気が付いたか。そうだ――」
「マリーが少し機嫌良いよ! 遠征前はずっとむすっとしてたからねぇ、あの子は笑顔が似合うのに」
「それじゃない。いや、関連はしているがそれじゃない!」
「仲良いのはどっちだろーねー。うひひ、睨まないでカイウスー」
「あたしにとっては大事件なんだけどねぇ……。ん? そういや酒の匂いが薄いね……?」
「気が付いたか。流石アマゾネス。鼻は効くようだな」
「それにこの匂い……白百合?」
「おぉー!? そういう気付きも……って、あの人来たの5日前なんですけどー!?」
「あぁ、流石はアマゾネスだ。異常だ」
「白百合、酒の匂いが薄い、とくりゃ一つしかないねぇ」
「うむ、実は5日前にな……」
「リリィが来ているってことだね! さ、リリィはどこだい? どこに隠しているんだい?」
「……もういい。そこまで気づいていながらわからないはずがないだろう。サンドをからかうのは好きだがからかわれるのは嫌いだ」
「ありゃ、お気に召さなかったかい? ま、入ってきた時には気づいていたねぇ。バルガーだろ?」
「うんー。でもさっきの言い方からするとー、ビアンカはリリィさんのこと知ってるのー?」
「知ってるも何も……あたしは元白百合騎士団だからねぇ。あの子の事は我が子の様に思ってるよ」
「はー?」
「は?」
「元白百合騎士団団長ビアンカ・ジリオ。まぁ今の若い奴らは聞いたことないだろうねぇ。もう20年以上前の話さ」
「えー、ビアンカっていくつなのー?」
「ほほぅ、カイン。女性に歳を聞くとは……いい度胸だねぇ」
「有り得ん……、いや、流石はアマゾネス、ということか……!」
「戦慄してないで助けてカイウスー。ビアンカも怒らないでー! もっと若いと思ってたんだよー!」
「ふん、ま、元から怒っちゃいないさ。あたしはもう42になるよ」
「わー……、え、ほんとにー!?」
「流石はアマゾネスだ……」
「さっきから同じことしか言ってないよカイウスー」
「大方、リリィがバルガーを連れて行ったって感じかね? お、その顔当たってるな?」
「流石アマゾネスー」
「流石だ、アマゾネス……!」
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