第3話サンド君とバルガーさんとマリィベルちゃんとその他
「サンド君、昇格試験の結果ですが……」
「は、はい!」
「今回も、残念です」
「そ、そんなぁ!」
「ギャハハハハハ! おめでとうサンド! 何回目だ?」
「7回目ですね」
「ギャハハハハハ! これは祝い酒だな! おぅ、サンド! 奢ってくれ!!」
「なんでだよ! 俺を慰めるとかで奢られる側だろ! くっそ……」
「あの、サンド君。内訳、聞きますか?」
「うっ……いや、聞きたくない……けど、聞きます……」
「はい、では開示しますね。奥の部屋に行きますか?」
「いや、ここでいいよ」
「おぉ? サンドにしては勇気ある行動じゃねぇか。なんかあったのか?」
「いや、どうせならバルガーに聞いてもらった方が良いと思っただけだ」
「お、おぅ。なんかやりづれぇな。きもちわりぃ」
「では。実技試験からです。採集実技A、討伐実技A、野営実技A」
「……やるじゃねぇかサンド」
「次は知識試験です。採集知識A、討伐知識A、野営知識A」
「今までで最高の結果だ……」
「でも落ちてんぞ」
「うっせぇバルガー」
「最後に面接の結果ですが……」
「マリィベル焦らすなよ。サンドの顔がおもしろい事になってるぜ」
「なってねぇよ! って、マリーちゃん、なんでそんな沈痛な面持ち……?」
「面接をした職員4人及びギルドマスターからのコメントです」
「ごくり」
「論外。だそうで。5人全員が同じコメントなんて初めて見ました」
「ギャハハハハハ!! ギャハハハハハ!! ギャハハハッゲホッギャハハ!!」
「サンド君……、面接で、何を言ったんですか……?」
「そ、それは……い、言えない! マリーちゃんの前では特に……」
「ハハァーン」
「私に聞かせられない事、なんですか?」
「ギャヒ……」
「そ、そんな悲しそうな目をしないでくれ! 悪いことじゃないから! ただ……その……」
「その……なんでしょう」
「は、恥ずかし――」
「ギャハハハハハ! たまんねぇ! 正直過ぎるだろサンド! 純粋か! いい、いいぜサンド! それ以上は無粋って奴だ!! とりあえずこっち来て飲みな! 俺が奢ってやるよ!」
「うわ! 引っ張るなよ! 何いきなり上機嫌になってんだ! キモいぞ!」
「あ……」
「ギャハハハハハ! てめぇら! 俺が一杯奢ってやる! こいつの祝い酒だ! 飲ませな!」
「あいよー」
「ひゃっほうバルガー太っ腹ァ!」
「うわ、離せお前ら! ちょ、服濡れる! ジョッキ押し付けんな! 飲むから! 飲むからちょっと待って!」
「もう……バルガーさん」
「ギャハハハ! お前だってこんな中途半端な答え貰っても嫌だろ? あいつ気付いてなかったしな。中年おっさんの要らぬ世話って奴だ」
「……」
「そんなムスッとすんなよ……可愛い顔が台無しだぜ?」
「バルガーさんに言われても嬉しくないです」
「そうだよなぁ、サンドの奴に言われたいよなぁ」
「なっ……、もういいです。私は業務に戻ります」
「マリィベル。今度、お前にもエール一杯分なんか奢ってやるよ」
「……現金で」
「えぇ……」
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