どうして学校に行くの?
神無月やよい
学校に行く理由
教育とは読んで字のごとく『教えて育てる』という意味がある。
なぜなら、人間は生まれながらに言葉を読み書き出来ないからだ。
先に生まれた大人が、習得した知識や技術を子供に伝える。
そして、その子供が親となり、子供に人間社会の仕組みを教える。
そうすれば、最終的には世の中がとても良くなっていく。
それが当然の時代になれば、おおよそ人間に生まれた瞬間から一切の差別なく、だれでも学校に入るようになるだろう。
どのような天才や武芸の達人でも、だれからの教えも受けず、独力で知識を修めた者はめったにいない。
まさに教育とは、全国あますところなく普及させるべき存在である。
教育の重要性を深く理解してもらえただろうか?
日本全国に教育機関を設立させて、日本国民を全員、学者にしたい所だが、それは流石に無理。私のわがままというものだろう。
病気がちな子供もいれば、生まれつき身体に障害を持って生まれた子供もいる。
家庭内に病人がいたり、火事で家が全焼したり、など様々な事件も発生する。
そのいずれも全て、子供が勉強するにあたって多大な影響を与える事態だ。
ただ、これらは非日常のトラブルである。通学にもっとも差し支えるべき原因は、他に存在している。
すなわち、生活苦からくる貧乏である。
おおよそ、日本国民の人口三千、四~五百万人として、五~六百万世帯のうち、子供の学費として、年間※1百万円~二百万円をポン! と出せる家庭は限られてくる。
※補足情報1:五十円×二万円=百万円
ただ、ワンランク下の中流家庭では、大学までの費用は出せなくとも、月に※2二千円~四千円なら出せる。
もしくは無料で授業が受けられるならお願いしたいという親御さんは十万人以上も存在している。
※補足情報2:十銭×二百円=二千円
それ以下の数百万の貧困層は、たとえ無料でも子供を学校に行かせる必要なし! と、かたくなに首を縦に振ってくれない。
(失礼ながら、授業に必要な鉛筆やノート、ランドセルなど無料で支給したとしても……である)
なぜ、彼ら貧困層の親御さんは、子供を学校に行かせたくないのか?
それは、八歳になる男子には草を刈らせ、牛の世話をさせ、六歳になる下の妹には、赤ちゃんの世話をさせているからだ。
学校の教育など望んでいない。
つまる所、大きなお世話という訳だ。
農家の子供も勉強して、将来立派な大人になって欲しいと、親は心のどこかで望んではいるものの、いかんせんとも、子供が家事を手伝ってくれないと生きていけない。
そんな切羽詰った事情が、彼らにはあるのだ。
これが貧困層およそ数百万世帯の実態である。
最近では、政府よりもご近所によくいる世話焼きな大人が、しきりに説得に回っていると聞く。
「子供にとって教育は重要だ。家計が苦しくても学校には行かせたほうがいい。
学校に行かせる事で、日本国家のお役に立てるのだから」
ありがたい事だが、そうは言っても、物事には必ず理由がある。
貧困層が理解を示し、子供を学校に行かせても、それでおなかが満たされる訳ではない。
つまり、腹の空かせ具合と教育は相反するものであり、この物事の境界線は決して越えられない壁なのである。
ゆえに文部省(明治政府)は、小学校の年齢を六歳~十四歳までの八年間と定めたが、貧乏な家庭ほど八年間、ずっと通い続けられないのが実情である。
ピッカピカの一年生ともなれば、親もしばらくは好奇心などから笑って送り出すだろうが、子供自身が一年で飽きて辞めてしまったり、二年生に上がる前に家族がもういいでしょ? 学業よりも家業を手伝って欲しい。と退学させてしまう。
辞めてしまう理由は、たいてい貧富の差に準じている。
つまり、貧乏な家庭ほど途中で止めてしまう割合が増えているのだ。ひもじい思いと教育は反するものとして、政府は心がける必要がある。
日本全国の小学生は、必ず途中で退学してしまう者が非常に多いと認識せねばならない。
すでに学校を止める事を決意しても、教師の説得などにより思いとどまる子供はいるかもしれないが、基本的には、途中で辞めた状態で大人になっても一生、生活に困らないよう授業内容を工夫する必要がある。
現在の学校において、もっとも大切だと思える私の考えをこれから述べていこうと思う。
地方で頑張っている小学校の先生方にとって、子供たちを導く手助けとなれたら幸いである。
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