副・天蠍・巨蟹・人馬 episode.0 side:
――side:シュテル――
……っあー。ようやく一段落ついたぜ。十七年、か。ほんとに、見つけるまで
なのに、ようやく見つけた主神があいつか……。控えめっつーか、今日もやたらと萎縮してたし、自己主張もしねえ。そもそも、おれが言っといてなんだが、いきなり異世界に来てくれ、なんて言われてあっさりついて来るか?普通。向こうに残してきた大切な人とか、大事な絆とか、なかったんだろうか。どうも、意思表示が少なくて、何考えてるかよく分からないんだよな。
……まあ、素直だし、礼儀も正しい。若干、腰が低すぎるくらいだが。それに、自分の役割を精一杯理解しようと努力しているのは、よく分かる。理解が追いついていないのは、今日の今日だし、仕方ないだろう。このまま真っ直ぐ成長してくれれば、それなりには、なるかもしれないな。せいぜい、頑張って導くするとするか。
――side:ルピオ――
ようやく、仕えるべき主神にお会いできた。お連れした副神には感謝しよう。
ただ、想像していたよりも、なんというか……か弱そうなお方であった。本当にあの方が我々十二柱神の頂点に立つお方なのだろうか……。
いや!私は何を不遜なことを考えているのだ。あの方が主神なのは間違いない。こうしてお会いしたことで私の中にエレメントが流れ込んできたのを感じる。それが何よりの証拠ではないか。
きっと、お迎えが遅くなったために、これまで慣れ親しんだ世界を離れたことで不安を感じていらっしゃるのだ。最も近くで支えるべき副神の態度があのようなものであれば、なおさらだ。
せめて私だけでも、十二柱の一員として恥ずかしくないよう、お仕え致そう。あの方はこれから、主神として育っていかれるのだ。
――side:クレイ――
よかった、主神は、とっても優しそうな方だ……。最上の身分でいらっしゃるのに、僕みたいな子供にまで、尊大な態度をとらずに同じ目線で接してくれる。
……でも、僕たちはともかく、あのようなお方で、他の十二柱と上手くやっていけるだろうか。とにかく、個性的な方々が多いから。悪くすれば、主神と認めてもらえずに、協力してもらえない場合もあるかも……。
ううん、いまからそんな事を考えてちゃ駄目だ。僕が主神を信じなくちゃ。
今日は、少し緊張されているご様子だった。今度お会いするときは、リラックスできるように美味しいお茶菓子でもお持ちしよう。甘いものがお好きだといいのだけれど――。
――side:シュッツェ――
なんっていうか、良くも悪くも普通の子だったな。まあ、「あの世界」から突然連れて来られちゃ、当然っちゃ当然か。帰りたがらない分だけ、適応力は高いと言えるかもしれない。
――って、仮にも主神に、こんな上から目線で見てちゃ駄目だよな。今の無し無し。でも、歳も近いし、出身星も「地球」だし、どうも気安く見てしまうな。
まあでも、他の十二柱は主神を「主神」としてしか扱わないやつがほとんどだろうから、一人くらいは俺みたいな奴も居た方が、主神にとっても過ごしやすいんじゃねーかな。……って、さすがに都合よく考えすぎか。
いいさ、とりあえず接し方は保留だ。次に会った時に、どう接するのがいいか直接聞いてみればいいや。これから頑張れよ、主神。
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