第4話 夢枕
今までなにやら当たり前のように書いてきたが私は男性である。なのに女性のような人格が普通にいることに気づいた方もおられるだろう。そうなのである、人格には男性的人格と女性的人格が普通にいるのである。ついでに言えば中性的、又は子供的人格というのもいるのだが、それはのちのち説明していこうかと思う。さて、この女性的人格の全体数を割り出すのは大変難しい。そもそも女性の人格というのは聡明で個性のある人格である場合が大変多く、男性は逆に没個性的でつまらない人間である場合が多い。何故だかは知らないが。別に私はカマの気があるわけでもないしなぜこのような人格が形成されたのか謎である。比率換算すると全体数の1割未満であったように思う。何しろ私が出会った人格は数が多い。なのでいちいち全員の事を覚えているのはさすがに無理である。特に印象深かった人格にリザとレーティアがいる。だがリザに関しては果たして人格と呼んでいいのか正直私もわからないでいる。なぜなら面と向かって会話したことのない人格だったからである。しかしながら私が課した試練には常に一番乗りでクリアしていく優等生であった。どんな試練を課したかは正直覚えていない。正式な人間である私にしかできないことを誇示するために私だけができるはずの事を探し出しては、できるかどうか試させていたということは覚えているのだが。ちなみにハルヒはこの当時にはまだ表れていない人格だった。どこにいたのか不思議に思い、よく聞いてみるのだが、本人も「?」マークで首をかしげるばかりであり、私たちが幼児の頃のことを記憶していないのと同じような感じなのである。人格たちにあえて年齢をつけるなら何歳になるかというと、発病が約4~5年前であるからほとんどの人格はそれ以下の年齢ということになる。といっても今残留している人格たちは比較的新しい人格なので2歳くらいと換算するのが妥当だろう。ちなみに勉強しなくても私が覚えたことならば大抵のことは知っている。というかほぼ全部を知っている。知らないことを探す方が大変なくらいである。見つかったらイベントになるくらいである。少し話が横道にそれた、さて話をもとに戻そう。リザの事に関してはあまり多くを語ることがあるわけでもない。次にレーティアの話に移ろう。私が過去に最も好きだった人格をあげればTOPを争うレベルの人格である。なぜTOP争いができるのかは聞けば納得の話である。このレーティアは実際にはほかの人格と区別するために神レーティアと呼んでいるのだが、いわゆる夢枕に立った人格なのである。私が入れ代わり立ち代わり現れる無数の人格を相手に苦しい戦いをしてた折に、私の枕元に立って額に手をかざしながら慈愛の意思を示した人格だったのだ。知ってる人にしかわからない話で申し訳ないが、ちょうどヒカルの碁に出てくるサイのようなポジションの人格であった。しゃべることもできず、テレパシーを使うこともできず、ただ幻覚を駆使することだけができる珍しい人格だったのだが、そのレーティアが私の事をあわれに思うような表情を浮かべながら私の枕元に立ったのである。その神々しさは一生忘れるものではない。こんな人格もいるのだとどれだけ励まされたかわからないからである。私にとって象徴的な究極の善なる存在であった。会えた回数はただの一度きりではあったが、その美しい姿は一生忘れないだろう。今となっては何度呼び掛けてももう答えてくれないのが残念ではあるが。
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