第3話第三章 十六年後
第三章 十六年後
青森県の山間にある狭霧嶽村では、真美の息子の碓井飛音(ひおん)が伯父の碓井雄一郎から人間の急所についてレクチャーされていた。高校一年の夏休みの午後、雄一郎の経営する医院の庭で、汗をかきながらの指導だった。
雄一郎の経営する医院は、木造で患者のめったに来ることのない寂れた医院だ。三年前にこの狭霧嶽村にも総合病院ができて、ますます患者が来なくなったそうだ。だからこそ、丁寧に飛音に付きっきりで人間の急所を教えることができるのだろう。
雄一郎はがっしりした筋肉質の体つきで、四十代の今でもマラソン大会に出場して、フルマラソンを完走するスポーツマンだ。
「いいか飛音、人間を確実に殺すなら、ここを刺すんだ。ここは急所だ。反対に、ここは急所じゃないから、刺してもすぐには死なない。痛みで失神するぐらいだ。むろん放置しておけば、やがては失血死するが、すぐに手当てをすれば回復する。どこが急所で、どこが痛みで失神する程度か、よく覚えておくんだぞ」
「伯父さん、こんな人殺しのための教育って、なにか意味があるの? たしかに伯父さんは医者だから、どこが急所で、どこが痛みで失神する程度か詳しいんだろうけど、ボクに教える意味はあるの?」
「詳しいことは後で説明するが、敵がいるんだ」
「敵?」
「去年、この狭霧嶽村に『鬼人講』という組織ができたのは知ってるだろう」
「ああ、不気味な名前の宗教団体だから、学校でも話題になったよ。同級生の親の中にも信者がいるとか」
「まだまだ規模は小さくて、宗教団体の認可もされてないから、まさに『講』なんだが、この小さな狭霧嶽村では無視できない存在だ。この鬼人講がやがて村に災いをもたらすかもしれない。村だけではすまず、日本中に災いが及ぶかもしれないんだ」
「そんなに危険な団体なの?」
「まだわからん。まだ兆候はない。しかしあいつはもう十六歳だ。十五歳を過ぎれば、なにかしらの兆候があるはずだが。その兆候が無いのは、あいつが人間の敵に回らなかったからか? しかしそれならなぜ、鬼人講などという怪しげな団体を、それもわざわざ狭霧嶽村に作ったんだ」
「伯父さん、あいつって誰?」
「俺の息子さ」
「え、伯父さん独身だよね」
「かつて付き合ってた高柳優香という女が産んだ子さ。この優香という女は、お前の母親の親友でもあったんだよ。この女とその息子が、もしかしたら俺たちの敵になるかもしれない。
そのためにお前にも急所を教えてるのさ。鬼人講を作ったのは高柳優香で、自分の息子を講主に据えている。息子の名前は、たしか修斗。俺は、自分の息子と戦うかもしれない。でも兆候も無いのに、こちらから乗り込むような乱暴はしない。兆候が無いのは、向こうが人間と戦う気が無いからか、それともまだ目覚めてないからか」
「兆候ってなに?」
「鬼さ。あいつは鬼を呼び寄せるかもしれない。お前にも急所を教えてるのは、なにも人を殺せと言ってるわけじゃない。鬼を殺すための訓練なのさ。鬼を殺すには、急所でなきゃいけないらしい。急所を外せば、こちらがやられる。そういう危険な敵なんだよ。お前はなかなか俊敏な動きをするから、鬼と戦えるかもしれない」
「鬼なんて本当にいるの?」
「いるよ。殺せる鬼はまだいい。この殺せる鬼のことを幽冥鬼と言う。その上に冥帝鬼と言うのがいる。この冥帝鬼が佐助のウスゴロの生まれ変わりと合体すると、もう殺すことができない。不死だ。佐助のウスゴロの生まれ変わりというのが、お前の従兄弟の修斗のことだよ。鬼人講の講主さ。不死になった冥帝鬼は人を殺しまくるだろう。日本中の人が喰い殺される。まずは狭霧嶽村が真っ先に全滅するだろう。俺はかつて、イタコの前で幽体離脱して、これらの情報を知ることができたんだ。今から思えば神様が人間を守るため、いろんなことを俺に教えてくれたのかもしれない」
「ウスゴロって、そもそもなに?」
飛音は伯父の雄一郎からウスゴロのことも含めて、かつて恐山でイタコに会ったことや、高柳優香のこと、飛音の母親の真美のこと、真美が優香を殺そうとしたが、今は雄一郎や祖母の美代によって説得されて、過去の間引きされたことは忘れて真人間になったことなどを聞かされた。
飛音の母親の真美は、結婚して大橋姓だったが、今は離婚して碓井姓に戻し、狭霧嶽村の実家に住んでいる。それゆえ飛音も、大橋飛音から碓井飛音になったのだが、それは物心がつく前のことだった。
祖父は三年前に他界したので、実家では祖母の美代と母親の真美と飛音の三人暮らしだ。
飛音は、母親の真美が真人間になったということが、何より嬉しかった。伯父と祖母が説得してくれたおかげだったんだ。母親が人を殺さなくてよかった。
「いいか飛音。鬼人講には注意するんだよ。やがては危険な存在になるかもしれないからね。
優香とお前の従兄弟は、お前の敵になるかもしれないんだよ。その時には戦いなさい。冥帝鬼が不死になる前に、お前の従兄弟を、佐助のウスゴロの生まれ変わりを殺すんだよ。人間のためにね。しかしまだ早い。兆候も無いのに、人殺しになる必要はない。冥帝鬼が出現する前には、まず幽冥鬼が出現するから、それから戦えばいい。向こう側が幽冥鬼を召喚しないのに、いきなり殺せば、ただの人殺しだからね。もしかしたら向こうは、幽冥鬼を召喚しないかもしれない。そうなら殺す理由は無いから、焦らないで様子を見よう」
気づけば夏の陽は西に傾き、スーっと涼しい風が吹いた。日はゆっくりと陰って行く。
「伯父さん、そろそろ帰るよ。夏休みだからと言って、あまり遅く帰るわけにはいかないから」
「わかった、気をつけて帰りなさい。念のために、ナイフは持って行くんだよ」
飛音が家に戻ると、家の前に見慣れない車が停めてある。フロントガラス以外の窓には、すべて黒いフィルムが貼ってある。フロントガラスから車内を覗くが、人は乗っていない。
飛音の家は玄関が開けっ放しになっていた。胸騒ぎがした。いくら田舎とはいえ、玄関はいつもきっちり閉めてあるのに。
祖母の美代も母親の真美も、祖父が亡くなってから農業のかたわらパートに出て、飛音の学費と生活費を稼いでくれているが、いつも帰るのは祖母の方が遅く、母親の方が早い。母親は、この時間には帰っているはずだから、玄関を開けっ放しにしたのは母親だろうと思った。
飛音が玄関に入ると、家の奥から悲鳴と物音がする。飛音は慌てて、靴も脱がずに家の中に入った。
「母さん」飛音は叫んだ。
奥から、くぐもった母親の声と思える悲鳴と、男の怒鳴り声がする。飛音は声を頼りに、家の奥へと走った。飛音の家は広い。しかし母親がいつも居るのは、台所か居間だ。台所も居間も、奥の方だ。飛音の額から汗が滴り目に入った。しみる。だが、そんなことを気にしている場合ではない。居間の方から物音がする。飛音は、居間に走った。
居間に行くとふすまが倒れている。中では母親の真美が猿轡をされ、男四人に抱えられているところだった。男四人は夏だというのに、目出し帽をしている。男四人は飛音に気づいて怒声をあげ、男の一人が片手でナイフを出した。
飛音もナイフを持っているし、伯父の雄一郎と何度もナイフを刺す練習をした。しかし、実際にナイフを向けられると足が震えた。母親が危ないというのに、相手にナイフを突きつける勇気が無い。不甲斐ない。
「警察を呼びますよ」力の無い声で言うのがやっとだった。
「どけ」男四人はそう怒鳴ると、飛音を蹴り倒して玄関に向かった。
「やめろ」
飛音は震える声でそう叫びながら、男四人に掴みかかったが、男の一人にいきなり殴られて、転倒した。こめかみ辺りを殴られたせいで、一瞬気が遠くなり、はっと気づいたときには男四人と母親は居なくなっていた。
慌てて外に出てみると、先ほどの車が無い。やはり犯人達の車だったか。夏の夕暮れ、まだ日はあるが、徐々に徐々に陽は沈んでゆく。夜気をはらんだ風が吹き抜けていくなか、飛音は車がどの方向に去ったのか、きょろきょろした。
「大変だったね」
不意に近くから声をかけられ、驚いて振り返ると女が立っていた。黒の帽子に黒の上着、黒のパンツに黒の靴、おまけに黒のサングラスまでした、まるでカラスのような女だった。
サングラスのせいで顔はよくわからないが、五十代後半から六十ぐらいだろう。サングラスに加えて、日が落ちてきたせいで、女の表情も読み取りにくい。
「急がないといけないよ。今のは鬼人講のやつらさ。連れて行かれた女は生け贄だよ。いよいよ鬼を呼ぶんだね。幽冥鬼を。これを鬼人講では『鬼儺式(ついなしき)』と呼ぶんだがね。女が生け贄にされた時、幽冥鬼が幽冥界から召喚され、やがては冥帝鬼が呼び寄せられるよ。そうなったら、お終いだね。冥帝鬼が佐助のウスゴロの生まれ変わりと合体すると、不死になるからね。もう倒せない」
「お前は誰だ。なぜ、そんなことを知ってる?」
「次の満月の夜に、生け贄にされるよ。急いで助けないとね。でも果たして、あんたみたいな坊やに、鬼人講への侵入ができるかね。警察はあてにならないよ。鬼人講がやったという証拠が無いからね」
「なんでそんなに詳しいんだ?」
「鬼人講の連中は、どうやったら鬼を呼び寄せることができるか知らなかったようなのでね。役者は揃ってるのにね。だから教えてやったんだよ、鬼儺式のやり方を。あの女を生け贄にすれば、鬼を呼び寄せることができると進言したのは、このオレなのさ」
「お前も鬼人講の一味なのか?」
カラスのような女は、飛音の質問には答えず、踵を返した。飛音はカラス女を追いかけようかと思ったが、まず警察に通報するのが先だ。それに伯父の雄一郎と祖母にも連絡しないといけない。あの時、ナイフで男四人を脅していれば、母さんは助かったかもしれないのに。
なんて自分は不甲斐ないんだ。弱虫め。
陽が落ちた。長かった夏の日も、ようやく暮れた。空には丸い月が、ぽつんと浮かんでいた。そろそろ満月だ。カラス女が言っていた。母さんが、次の満月の夜に生け贄にされると。
飛音は、警察に通報すると共に、伯父の雄一郎と祖母の美代に連絡した。調べたところ、もう明後日が満月だった。急がなければ。
警察より先に、伯父の雄一郎が駆けつけ、飛音から事情を聞いた。雄一郎は母親を助けられなかった飛音の気の弱さを責めた。なんのためにナイフを持たせ、また訓練もしているのかと。そして雄一郎は言った。カラス女のことと鬼人講のことは警察に言うなと。満月の夜は明後日だ。警察が調査しているうちに明後日になり、母親は殺されるし、警察は証拠がなければ鬼人講に立ち入れない。警察にうろうろされると、かえって邪魔だ。これは我々が解決すべき問題なのだと。今度こそ戦えと、雄一郎は飛音に発破をかけた。
やがて警察がやって来て、祖母も慌てて帰ってきた。飛音は唯一の目撃者として、夜遅くまで警察の取り調べを受けた。現場検証が終わったのは、もう夜中になってからだ。飛音は精神的疲労でくたくたになった。犯人の男から殴られたこめかみ辺りも、うずいてきた。
次の日の午前中も警察が飛音の家に来て、再度現場検証をしていた。伯父の雄一郎も来ていた。午後になり警察が帰った後で、飛音と伯父の雄一郎がどうやって鬼人講に潜入して母親の真美を救出するか頭を悩ませていると、来客があった。飛音が玄関に行くと、飛音の高校の同級生の女子の星野楓が居た。
実は飛音は、この星野楓に恋心を寄せていた。楓は身長が160センチほどで、スラリとした体型のスレンダーな美少女だった。楓の服装は青のチェックの開襟半袖シャツにジーンズだ。突然の楓の来訪に飛音は驚き、そして顔が赤くなっているのが自分でもわかった。
「星野さん、どうしたの?」
「碓井君、事件のことでどうしても話したいことがあるの。碓井君のお母さんが連れ去られたって聞いたけど、おそらく鬼人講よ」
「星野さん、なんでそんなこと知ってるの?」
「実は、私の両親が鬼人講をやっていて、私も鬼人講に参加してるの。鬼人講に参加すれば、願い事が叶うって言われて。現世利益に関しては、神仏に祈願するより、鬼のパワーにすがったほうが効果的だと言うから信じたの。でもまさか、人を拉致監禁するなんて。私は聞いてしまったのよ。碓井君のお母さんを連れてきて閉じ込めたって。そんな危険な団体とは知らなかったの。私が手引きすれば、鬼人講の中に入れるわ。だから、お母さんを助けてあげて」
飛音は星野楓を家の中に入れて、伯父の雄一郎にも会わせて、じっくり話を聞いた。楓によると、鬼人講の警備が手薄になるのは、明日の満月の夜、鬼儺式(生け贄の儀式)の始まる前だそうだ。だから鬼人講に潜入するのは明日まで待ったほうがいいとのこと。しかも鬼人講に潜入するのは、飛音ひとりのほうがいいらしい。
鬼人講の講主は十六歳で、学校には行ってないし、もともと狭霧嶽村の人間ではないので、話し相手になる十六歳の男子を探しているとのこと。今のところ十六歳の男子の信者がいないそうだ。十六歳ではない少年の信者はいるらしいが、同い年がいいらしい。
楓が手引きしてくれるそうで、鬼人講の信者に見咎められたら、講主の話し相手になりに来ましたと言えばいいらしい。後は楓が、捕らえられている飛音の母親の部屋まで案内してくれるそうだ。むろん、警備の信者はいるが、人数は少ないらしいし、講主の命令で来たと言えば、母親の部屋に入れるそうだ。
その後は、母親を講主のところに連れて行くふりをして、逃げだすだけだ。追いかけられたら、今度こそ戦うしかない。伯父の雄一郎がいると心強いが、雄一郎がいると怪しまれて、鬼人講への潜入自体が難しくなる。
「オレは反対だね」
不意に声がした。見ると、祖母の美代だった。美代は東北の女らしく、自分のことを「オレ」と言う。廊下で立ち聞きしていたらしい。
「なんで反対なんだ。お母さんを助けるには、これしか方法がないよ」
「飛音ひとりなんて、危険すぎるよ。やはり警察に任せるべきだね」
「タイムリミットは明日なんだよ。警察が行く前に、お母さんは殺されちゃうよ。警察がやってくれるのは、お母さんが殺された後で、犯人を捕まえることだけだ」
「それでも反対だね。飛音まで殺されるよ」
「殺されても、お母さんを助ける」
「なにがなんでも、オレは反対だよ」
美代は強い口調でそう言うと、立ち去って行った。飛音は美代を無視して、さらに楓と打ち合わせをした。楓に好意を寄せている飛音は、母親の危機だというのに、楓と話せるのが嬉しかった。
飛音はすべてを楓に任せて、鬼人講に潜入することにした。入念に打ち合わせをしてから、楓は帰った。この家に来る前に洗髪でもしたのか、楓の肩まである髪からはシャンプーの良い香りが漂っていた。
飛音は楓を玄関まで見送った後で、もう一度、祖母の美代の理解を得ようと、美代の部屋の前で美代に声をかけた。返事が無い。おかしいと思い、そっと美代の部屋のふすまを開けた。美代は居なかったが、机の上に手紙のような物が置いてあるのが目に入った。
勝手に部屋に入るのは悪いと思いつつも、飛音は美代の部屋にそっと入った。机の上には「飛音と雄一郎へ」と書いてある封筒があった。不安になった飛音は、封筒の中から乱暴に手紙を出すと、読んだ。
「飛音へ。
鬼人講というのは、まだ小さな団体とはいえ、ひとつの組織です。そこに飛音ひとりで潜り込むなんて、いくらなんでも無茶です。命がいくつあっても足りません。飛音、あなたは大切な孫です。その孫をむざむざと、危険な場所にやれません。本当に、殺されるかもしれませんよ。
雄一郎も雄一郎です。自分の甥に危険な行為をさせようとして。本来なら雄一郎、あなたが飛音を止めないといけないんですよ。自分の息子のように接してきた甥じゃないですか。
飛音がどうしても鬼人講に潜り込むというなら、私はご先祖様に申し訳ないので、自ら命を絶ちます。どうかこの年寄りの命とひきかえに、鬼人講に行くのは、やめておくれ。私はもう七十を過ぎ、死んでも悔いは無い。でも飛音は、まだまだこれから人生が長いじゃないか。自分から進んで死にに行くようなことはない。この年寄りの命を無駄にしないためにも、飛音は生きておくれ。もう一度、考え直して。
雄一郎、飛音を頼みます。飛音が大学を出るまで、あなたが親代わりとして育ててやってください。頼みましたよ。これで心置きなく死ねます。どうかどうか、鬼人講には近寄らないで」
飛音は手紙を読み終えると、大声で雄一郎の名前を呼びながら、雄一郎のいる部屋へと走った。そして雄一郎に手紙を読ませると、二人で家の外へと走り出し、手分けして祖母の美代の行方を探した。
美代は楓と話している時に顔を見せたから、それから手紙を書いたとして、それほど遠くには行ってないはずだ。母親が連れ去られた挙句、祖母が自殺なんて嫌だ。なんで次から次へと、不幸が起こるのか。飛音は腹の底から怒りが湧いた。
美代の行きそうな所はすべて探したが、どこにも居なかった。雄一郎も美代を見つけられなかったそうだ。警察に通報するしかないのか。だが伯父の雄一郎は、警察には言うなと言う。
いま警察に通報したら、また警察の取り調べを受け、もしかしたら明日の鬼人講への潜入に影響するかもしれない。警察の取り調べが長引けば行動が制限されるからだ。
美代も大切だが、母親の真美の生け贄は、なんとしても阻止しなければいけない。真美が生け贄にされれば、それは母親の喪失というだけでなく、鬼の出現に繋がる。そうなったら悪夢だ。
飛音は猛烈に腹が立った。すべては鬼人講のせいだ。鬼人講さえなければ、母親も祖母も無事だったのに。
それにしても祖母は軽卒だった。祖母が自殺したところで、母親を見捨てられるわけがない。鬼がどうのこうの、あるいは人間がどうのこうの以前に、母親を助けたいと思うのは、子供として当然だ。それなのに、祖母は身勝手にも自殺などと言う。美代はまさに犬死にだった。
飛音は、すべての怒りを鬼人講に向けた。なんとしても母親を奪い返す。明日は決戦だ。
満月の前の月が、耿耿と輝き眩しかった。飛音は眠れない夜を過ごした。
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