6 - トラ

 リョータが自己紹介して女の子たちが、顔見合わせて「は?」みたいな表情したときリョータの顔をつい、見ちゃったけど見なきゃよかったってあんな風に、ひきつった笑顔してなんか言おうとしてなんにも、言えずにいるずっと俺なんかより頭よくてしっかりしてる人がそんな状態になる瞬間を見て一生、忘れるってことないと思った。それであっちのメンバー集めた女の子が俺の、顔見てなんで、大学生つれてこないんだよって目をしたの、リョータもぜったい知ってる。

 君らコウミツって知らないかもしんないけどすげえメーカーなんだってリョータさんさあ、高卒で入るとかすげえエリートなんだってボーナスもあるし俺らより、ぜんぜん。横田がそう言ってフォローしてそのあと合コンの、あいだほとんど女の子たち無視して横田はリョータに仕事のこととか趣味とか聞きまくっててリョータは、さすがに合コンなのに女の子としゃべろうとしないってこと最初は気にしてたけど途中からもう横田としゃべることにしたらしくて俺と、渡辺が向こう四人の相手してたけど二人はもう、完全に怒っちゃってて一人はぜんぜん気にしない感じでバンド好きの子で声が大きくてめちゃめちゃよく笑う子でそのときぜんぜんしゃべってなかった横田と一ヶ月後に付き合うことになって一人は、俺がリョータんとこ毎週泊まってるって話したらそのこといろいろ聞きたがって話したらキャーキャーゆって喜んでくれた。

 なんか俺のせいでごめん変な空気なったっぽいってリョータが言ってなんて答えていいかわかんなかったから黙っててまた、合コンとかの話があったから何回か誘ったけどこなかったから誘わなくなった。仕事で元請けの人から俺のことこの前、しっかりしてるって問題とかあってもすぐ連絡くれるしうらやましいって言われたって課長が、あとで教えてくれてやっぱ、そういうこと社外の人に認めてもらえるとかってこと嬉しいっていう話を急にリョータが言って母さんにそのこと伝えたら母さんは、ドン引きするくらい喜んでてなんか、ちょっと、自分が責められてるみたいな感じがした。

 母さんはリョータがそういう仕事のことを自分から、ぜんぜん言ってくれないからもし、他にもあれば教えてくれっていうけど別に俺は、リョータと母さんの連絡帳じゃないし。

 仕事のことで自慢したのは合コンで女子に、ばかにされたみたいな感じになったことともしかすると、関係あるのかもしれない。

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