退屈だ とても退屈 

というのも私の担任である社会科の江藤先生 この人の授業はとてもつまらない

堅苦しく私語一つ許さない鬼教師として有名なのだが、それに反感を覚えた不良たちが授業妨害を行い授業中は殺伐としている。それ自体は別にいいのだが授業が一向に進まない。それでいて本を読み始めると没収される、教師の中では模範的な教師なのだろうが、なら授業を進めろという話だ。

特に何も変わらないまま授業時間が半分を過ぎたころ、ふと窓の外に目を追いやるとツツジの花が満開に咲き誇り風になびいていた。

一本一本がしっかりと風になびいており、なびかないものはないのかなと探していると、それが少し面白くなってきた。そして退屈な授業は少し面白みのある暇つぶしへと姿を変えた。 

少し時間が経ったところで面白みのある暇つぶしもまた姿を変えた。着々と冬を溶かしていく春の姿に私の枯れた心は少しずつ満たされていったのだ。もう少しで、大満足の星三つという時にふと我に返ってしまい、授業の喧騒が満たされた心を黒く濁らせた。この程度でこんなになってしまう自分が嫌だが今の自分ではどうしようもなく怒りが湧いてくる。

やはりこのクラスはおかしい。受験前だというのに授業中の私語はおろか立ち歩く生徒までいる。正直、自分には耐えがたかった。

同級生が話しているのはゲームやテレビの話だけ。昔のように純粋に秘密基地をつくったり、外でサッカーなどをして遊ぶのが好きだった私はとても疎外感を感じる。

もうあの頃のように外でみんなで遊ぶ機会は来ないのだろうか。

だが今となっては自分も目先の受験のために必死だ、そんなことを考えている暇はない。

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空洞 夢之木 咲 @yumenoki06

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