第4話

あれ…なんか気持ちいい。

ふわふわで…柔らかくて。

俺はまた瞳を閉じようとした。


ん?




「んん!?」



俺は覚醒した。せざるを得なかった。

だって今俺は見知らぬベッドにいるのだから。


ここはどこだ?

という疑問を解決しようとした矢先。


「い…っ」


頭に鈍い痛みが走った。


そうだ。昨日は桂木と飲んでて…あれ、…俺…どうしたんだっけ…


てか…


「なんで俺パンツ一丁なの」


妙にスースーするなと思ったら…

頭で一生懸命理解しようとするも、無理だ。記憶がさっぱりない。




「お目覚めですか」

「へ…え!?か…桂木!?」



そう。そこにはコップを持った桂木の姿があったのだ。


それにより、俺はますます混乱することになったのだった。



起き上がってみたものの…パンツ一丁であることに恥ずかしさがこみあげて、思わず布団を手繰り寄せて露わになっていた上半身を隠した。

だって、俺、仮にも上司だよ?

新人にこんな恥ずかしいとこ見られて…

てか、ここ…もしかしなくても…


「ここは…」

「はぁ…僕の家ですよ」



ですよねー!

そうですよね、うん!そうだと思いましたよ。

嫌な予感が的中して俺はうなだれる。

そんな俺に尚も桂木は水を勧めてくる。



「ほら…飲んでください。酔い方がひどすぎるんですよあなたは…」

「う…ありがとう」



桂木は水とともに頭痛薬を渡してくれた。

え、ナニソレ。

ちょっと俺…




「う…」

「え…!ちょっと、斉藤…さん?!」

「ううう…」



やべー…後輩が焦ってら。いつもは焦った顔なんか見せないアイツが…

そりゃそうだよなー…だって、上司が突然泣き出したんだもん。そりゃ焦るわ。



だって、だってさ。

情けないのはベロベロに酔っぱらって後輩の家に送ってもらったんだから、もう今更なのだ。

けど。


ついこの間俺に向かって上司面すんなとか、そんなこと言って突っぱねたくせに。

なんだよ…めちゃめちゃ優しいじゃねーかよ。

くそぉ…



「う…よかった」

「…はい?」

「だって、桂木さ、俺のこと…っ、嫌いじゃないだってのが、う、嬉しくってさぁ…!」

「…っ!な…っ」



素直に涙でぐちゃぐちゃの笑顔でそう伝えると桂木が息を呑んだように思えた。

けど、俺はそんなことどうでもよくなった。

まぁ…考える暇がなくなった、とでも言うのだろうか。


だって、次の瞬間、唇を奪われてたのだから。

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