休息②

第74話 就寝

「そうだ、シェリルと花梨にはどこで寝てもらおうか……」


 俺たちは夕食が終わって、ひと息ついているところだった。

 俺と菜々芽は自分の部屋で寝るとして、2人にはどうしてもらうか。

 リビングをのぞくと空いている部屋は3つ。

 母さんの部屋、親父の部屋、客間だ。


「新太、それならあたしはおばさんの部屋で別にいいわよ」


「ならシェリルには客間を使ってもらうか」


「えー、リンお姉ちゃんもシェリルお姉ちゃんも、あたしの部屋で寝ようよー」


「ダメだぞ菜々芽。そんなことしたら、お前いつまでたっても寝ないだろ」


「ぶー。お兄ちゃんのいじわるぅ。お兄ちゃんなんかおにいちゃんだ!」


「……何を言ったってダメだからな」


 鬼と言われようがかわいいもんだ。毒を吐かれたときに比べればな。

 うっ、あのときの言葉を思い出したら、胸が痛い……っ!

 忘れろ、忘れるんだ……!!


「シェリルも花梨も、着替えは菜々芽の……じゃサイズが合わないか。母さんのでもいいのならだけど、適当に使ってくれてかまわないから」


「ん、わかった。シェリィ、あとで一緒に着替えましょ」


「ありがとう、カリン」


「じゃ、ちょっと早いけど今日はもう休むか」


「「「はーい」」」


 3人はそれぞれの部屋に入っていった。

 それを見届けた後、俺も自分の部屋に戻る。


 盗賊っぽい衣装から寝間着代わりのジャージに着替えると、すぐにベッドの上で横になった。

 すると、一気に眠気が襲ってくる。

 思っていた以上に疲れていたらしい。


 思えば今日は、本当にいろいろなことがあったもんな……。

 いきなり死んで、女神に会ったら異世界に転生して、いきなり最強の魔法剣を手に入れて、あとはモンスター倒したり、ギルドに登録して救世主として迎えられたり、高ランククエストをクリアしたり、よく考えるとすごいことやってるよな。


 ……まあ、すべてにおいて下ネタまみれだっていうのがアレだけど。


 隣にある菜々芽の部屋は、さっきからシーンとしている。

 あいつも俺とほとんど同じ状況だったんだし、きっと疲れてるだろう。

 ずっとはしゃぎっぱなしだったし、もう寝ちゃってるんじゃないかな。


 そんなことを考えているときだった。

 トントン、と部屋のドアがノックされる。

 とても遠慮がちな音だし、シェリルあたりだろうか。

 何かわからないことでもあったのかもしれない。


「はーい、空いてるよー」


 俺は起き上がると、そう返事をした。

 ノブが動いて、ゆっくりとドアが開いていく。

 そこには菜々芽が立っていた。胸には枕を抱きしめている。


「……お兄ちゃん」


「菜々芽、どうした?」


 菜々芽は申し訳なさそうな顔で、俺にお願いをしてきた。




「お兄ちゃん、あのね……一緒に寝てもいい?」

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