第29話 おっぱい
ひゅううううううううう――ん!
俺の体は、地面に向かって真っ逆さまに落ちていく。
おい、これやばくね!? ギャグマンガなら人型の穴ができて終わりだろうけど、当然そんなんじゃすまないだろうし!! お、落ちる落ちる落ちる――っ!!
『快楽堕ちといえば、やっぱり定番は
うるせえ駄女神!! 今はお前に構ってる場合じゃねえんだよおおお!!
と、そのときだった。
シェリルが両手で自分の胸元に何かを入れる。
そして量先からギュッと胸を寄せると、呪文を唱えた。
「――初回特典、超巨大おっぱいマウスパッド!」
地面にいきなり全長5メートルほどの、おっぱいマウスパッドが出現した。
女の子の顔がある部分には、かわいくデフォルメされたシェリルの顔。
おお、これはグッズ化したら売れること間違いなしの完成度だ。
ああ、一応言っておくとマウスパッドのシェリルはハダカじゃないからな。
今シェリルが来ている服と同じ服が描かれている。
ちょっとガッカリ……。
――なんて思ってないぞ、別に!
俺の落下地点は、ちょうどシェリルの右胸の位置。
ひゅううううううう――ん。…………ぼふっ!!
そのど真ん中、乳首があると予想されるあたりに俺は落下した。
何だかスポンジのような感触に体が包まれると、おっぱいがへこんだと思ったら元の形に戻って、その弾力に押し戻されてしまう。
俺の体は大きく弾んだあと、地面に放り出されてしまった。
そして背中を強く打ってしまう。
「――ぐはっ。うっ、痛ててててて……!」
でも助かった。上空から降ってきたってのに、ベッドから落下したくらいの衝撃ですんだんだからな。これもシェリルの魔法のおかげだ。俺はおっぱいマウスパッドにつかまりながら、よろよろと立ち上がる。
「アラタ、だいじょうぶか!?」
「ああ、シェリルの魔法のおかげで無事だ。ありがとう」
「それはよかった。ところでアラタ、あまりそのおっぱいを触らないでくれると嬉しいのだが……」
「え……? あ、ああ! ごめん!!」
立ち上がるときに、ついつかんでしまっていたことに気づく。
そうだよな、シェリルの体とリンクしてるんだもんな。
俺は慌てて手を離した。
「それにしても、このおっぱい……」
「何だ、アラタ?」
「いや、やっぱり魔法とはいえマウスパッドの感触なんだなって。何て言うか、スポンジみたいな感じだったからさ」
本物のおっぱいだったら、もっとこう……やわらかいだろうし。
まあいや、もんだことはないんだけどさ。
そんなことを考えてしまったのだが、シェリルがなぜか申し訳なさそうな顔をしている。
「アラタ、実は…………」
シェリルは自分の服の中に手を入れると、胸の部分から何かを抜き出した。
…………豊胸用の、胸パッドだった。
「すまない、アラタも落下するなら大きい方が嬉しいだろうと思って、つい見栄を張ってパッドを入れてしまったのだ」
そういや魔法を使う前に、何か胸に差しこんでたな。
まさか胸パッドだったとは……。
シェリルが胸パッドを抜いたら、おっぱいマウスパッドのおっぱいも小さくなってしまった。それでも、きちんとそれなりのふくらみが残っている。
俺はつい気になって、マウスパッドのおっぱいを触ってみた。
ふにょん、ふにょんふにょん……。
何コレ、この世のものとは思えないくらい、すごくやわらかい。
押すと指がしずみこむんだけど、水風船のような弾力もあって。
ああ、これずっと触ってたいなあ。……ふにょんふにょん。
「ちょ……っ、アラタ! や、やめ……んンぁっ!!」
「うわあ、ごめん! つい……!」
そういやシェリルの魔法はリンクしてるんだった!
でも……。
おっぱいって、こんなにすごいものなのか。
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