第28話 あんまりだ!

「お兄ちゃん、シェリルちゃんにツッコミしてあげないの?」


「いや菜々芽。俺、すっげー疲れてんだよ……」


「前にテレビで見たことあるよ。ツッコミは愛なんだって」


「確かに、どっかの芸人がそんなこと言ってたな」


 それは俺も同意している。

 だからこそ、普段からツッコミに磨きをかけているわけだが……。


「だったらツッコミしようよ。お兄ちゃん、シェリルちゃんが好きなんでしょ?」


「――へ? いやいやいや、そんなことないから!! 絶対ないから!!」


 た、確かに見た目はかわいいと思うけど!

 それとこれとは別!

 俺はもっと恥じらいのある女の子が好きだから!


「あははっ、お兄ちゃんってば赤くなってる! それに疲れてても、今あたしにツッコミしてくれたよね!」


「さすがに……、今のはツッコまざるを得ないだろ……」


「わあい、お兄ちゃんが《ツッコんで》くれた! あたしを愛してる証拠だね!」


「あ……っ!? ま、待て――――っ!!」


 倒れている俺には、菜々芽の口をふさぐことはできなかった!





 ちゅどおおおおおおおおお――――ん!!





 近くで大爆発が起きると、俺の体は爆風で空高くフッ飛ばされてしまう。


「うわああああああああっ!! 理不尽だああああああああっ!!」


 確かに俺は菜々芽を愛している! すごく愛している!

 でもそういう意味で突っこみたいと思ったことは、一度としてないぞー!



 …………。


 いや、一度としては言い過ぎた! あんまりないぞー!

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