第27話 小さい

「どうしたアラタ、勃てないのか?」

「いや、だから俺の股間に話しかけるのやめろよ……」


 すげー疲れてて、もうツッコミ入れるのもめんどくせーのに。


「ああ、これはおそらくMP切れだろうな」


「マジかよ……」


「今のアラタだと、もって1分というところか」


「1分……!? 確かに強キャラはそういう制約ありがちだけどさ……」


 こりゃ動けるようになるまでは、しばらく休まないとダメだろうな。

 しかし1分って……。ウルトラマンやカップ麺完成までより短いのかよ。

 チートだとか喜んでたさっきまでの俺を思い出すと、クッソ恥ずかしい。


「ちくしょー、情けないったらありゃしねー」


「だいじょうぶだ。魔王であろうと一撃で倒せばいいのだ。アラタが最強であることに変わりはない」


「そりゃそうかもだけど……。しかしMP切れってこんなに辛いのかよ」


「いや。そういえばわたしの場合は、魔法が出なくなるだけだが」


 シェリルが「ふーむ」と悩み始める。

 そしてハッと何かを思いついた顔をすると、続きを話し始めた。


「きっとこの疲労は、アラタのリンクに違いない!」


「え――? それってつまり……?」


「そうだ。射精後の疲労感ということだな」


 ってことは、今の俺って精子からっぽってこと?

 つーか、やりすぎるとこんなにも体が動かなくなるのかよ。

 前に1日3回出したときだって、こんなにはならなかったぞ。


「アラタ、勃てるか?」

「…………」


 だからもう、ツッコミ入れる気力はねーんだって。



 ちゃらららちゃーらっらー♪

【アラタは スキル:二度目のネタはスルー を覚えた!】



 またこれは、何の役にも立たないスキルだな。

 しかし女神よ、カン違いすんじゃねーぞ。俺のツッコミを舐めるな。

 二度目だろうと何だろうと、俺はどんな球でも拾う名手だ。

 ただ、今はすげー疲れてるだけなんだからな。



「さあアラタ、今つかみ起こしてやるぞ」



 おい、シェリル!

 俺の股間に手を差しのべるなって!

 そんなことしても起き上がれねーよ。体もアレもな!!


 触るなよ。絶対に触るなよ。

 出し切った今……これでもかってほど縮んでるんだ。

 俺のアレが小さいって思われるのは絶対に嫌だからなー!!

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