旅立ち

第24話 初の戦闘

 家を出発した俺たちは、草原を歩いて街へと向かっていた。

 そこらへんにモンスターがいるが、なるべく間を縫って通っていく。

 まあシェリルの話によると、この辺の敵は弱いらしいから警戒することもないらしいんだが。


 隣の菜々芽はというと、まるでピクニック気分でウキウキしていた。

 ふと、俺の右手にあるバイブに興味津々で、顔を近づけてくる。


「ねえお兄ちゃん、それ貸してー。あたしもそれ触ってみたーい」


「ダメだ。これは、その……取り扱いが難しいから」


「ええー、ケチー。お兄ちゃん嫌ーい」


「え……っ!?」


 ガーーーーーーーン!!

 な、何ということだあああっ!!

 菜々芽に嫌われてしまうとは……っ!

 でもこんないかがわしいものを、菜々芽に触らせてたまるかー!


 しかもナデナデしながら「おっきいね」とか「かたーい」とか言われた日には、爆発魔法でとんでもないことになるだけじゃなく、俺の鼻血まで噴出しそうに――いやいや、それは兄としていかんぞ。ガマンガマン……。



「む、モンスターがこっちに来るぞ。2人とも、戦闘の準備だ!」



 シェリルが言った通り、2匹のモンスターがこっちに向かってきた。小型で丸くてポヨンポヨンはねている。ゲル状で愛くるしい顔をしていた。



素裸すらイム が あらわれた!】



 ……素っ裸ってこと?

 いや、スライムって普通、服は着てないだろ。



「今回はわたしが倒そう。2人は見学して戦闘の感覚をつかんでほしい」


「お、おう。わかった」


 ちょっと緊張してたので、正直助かる。

 シェリルは俺たちの前に立つと、スライムと対峙した。

 そして懐から、魔法用のアイテム――オナホールを取り出す。


 ちょ――っ!? 何でそんなもの持ってるんだよ!!

 オナホールとは女性器をかたどったジョークグッズだ。

 まあその……男が、アレするときに使うヤツだ。



「我が呼び声に答え、その入口を開け――――マンホールッ!!」



 シェリルは穴の部分に人差し指と中指を突っこむと、グイッと広げた。

 それと同時にスライムの足下に深い穴が開くと……。


 ひゅぅぅぅぅぅぅぅーん。


 片方のスライムが奈落の底へと落ちていった。


【素裸イムに152のダメージ。素裸イムをやっつけた!】




 ………………うん。


 ひっどい魔法でやられるスライムに、俺は思わず同情していた。

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