第25話 リンク
マンホールか……。
落ちたら臭そうだな。
『――ぶふッ!』
吹いてんじゃねーよ女神。
別にそういう意味で言ったんじゃねーからな。
『うひひ、うひひひっ。あー、お腹が痛いです。ところで、そういう意味ってどういう意味ですか? この無知な女神めに教えてはくれませんか? ねえアラタ?』
しかしマンホールなんて、この異世界に存在するのだろうか。
でも存在しなければ下ネタとしては成り立たないだろうし、そもそもシェリルはバイブなんてものを知っていたわけで、そう考えるとこの世界はいったいどういう世界観で成り立っているんだろうな。
『スルーですか。しょぼん……』
まあ、そんなことは考えていてもわからないし、今は戦闘の続きだ。
シェリルはもう1匹のスライムを仕留めようと、別の魔法を使う。
オナホールに入れた指を、クイッと曲げて小刻みに動かした。
「――んッ、体内の奥深くより生まれし水は螺旋を描く。――
やけに色っぽい吐息混じりの呪文のあとに、マンホールから噴水のように大量の水が勢いよく吹き出した。もう1匹のスライムに命中すると、そいつははるか上空へと飛ばされていく。
【素裸イムに146のダメージ! 素裸イムをやっつけた!】
【シェリルは2のけいけんちを得た!】
最後に得た経験値の表示。これで戦闘は終わったらしい。
経験値は敵を倒した者だけが手に入れられる方式か。
そういや菜々芽のときも、菜々芽だけがレベルアップしてたしな。
「……どうだ。わたしの戦いは参考になったか?」
「すごかったよシェリルちゃん! 魔法カッコよかった!」
「ありがとうナナメ。……あッ、んんッ。ハァハァ……」
「どうしたのシェリルちゃん、お顔が真っ赤だよ?」
菜々芽が言った通り、シェリルの頬は紅潮していた。
というか腰をクネクネさせて、せつなそうな表情を浮かべている。
この反応って……、まるで……。
俺はいけないと思いつつも、ついついシェリルの姿に見とれた上に、生ツバを飲んでいた。
「魔法の後遺症でな。威力を上げようとすると術具と感覚がリンクしてしまうのだ」
「つまり、その……、感じてしまっていると……?」
「アラタ、そんなにハッキリと言わないでくれ」
「あ、いや……悪い」
シェリルは恥ずかしそうに顔を背けている。
下ネタは平気で言えるのに、こういうのはダメなんだな。
照れる基準がよくわからん。
しかしリンクするってことは、もしかして俺も魔法剣使うたびに腰砕けになってしまうんだろうか。
もしそうなら、へっぴり腰になっちゃって戦闘どころじゃないぞ。
声とか上げたりしちゃったらどうしよう。
そう考えると、シェリルが恥ずかしがる気持ちがよくわかるな。
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