第15話 妹も転生者

「それにしてもお兄ちゃん、あたしたち本当に異世界に来たんだね」


「ああ。こうして外を見てみると、それ実感するよな」


 俺と菜々芽は、窓の外をみてしみじみとしていた。



 家の中はいつもと同じ様子だけど、外は違う。幼なじみが住んでた家も、駅もコンビニも商店街もどこにもなくて、サバンナかと思うような草原が広がっていた。

 昼にもかかわらず、空には月が3つも浮かんでいる。



「それにしても菜々芽。お前どうしてここにいるんだ?」


「それはもちろん、あたしもお兄ちゃんと一緒に死んじゃったからだよ」


「そっかー、菜々芽は死んじゃったのかー。あははははっ」


「そうだよー。あははははっ」


「あはははは……は? ――はあああああっ!?」



 死、ん、だ……?

 菜々芽が……?

 俺のかわいい菜々芽があああああああああっ!?


 いや、でもよく考えたらそうだよな。

 隕石が家に衝突したとき、親父や母さんは出かけていたけれど、菜々芽は一緒に家にいたはずだ。それなら菜々芽だって俺と一緒に死んでてもおかしくない。


 おかしくないんだけど……っざっけんなよ! この隕石があああああっ!!



「でもあたし嬉しい! 死ぬときもお兄ちゃんと一緒だったんだもん!」


「菜々芽……。嬉しいことを言ってくれるじゃないか」


「お兄ちゃーん!」


 菜々芽がひしっと抱きついてくる。

 俺は笑顔の菜々芽をなでた。あー菜々芽はかわいいなあ。

 そうだ、むしろ菜々芽と一緒に死ぬことができてよかったよ。

 隕石よぉ、さっきは怒ってごめんな。菜々芽と一緒にいさせてくれてありがとう。


「それで聖なる女神さまがね、あたしを転生させてくれたの」


「なぬっ! 菜々芽、あいつと会ったのか!? 何かされなかったか!?」


「だいじょうぶ、とっても優しくしてくれたよ」


 そうか、それならよかった。

 菜々芽が会ったのはもしかしたら、アレとは別人の本物の聖なる女神だったのかもしれないな。


「あ、でもだいじょうぶだったかな。うっとりした顔で鼻血流してたんだよね」




 ……アレで間違いないな。

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