第6話 神聖な転職
「ではアラタ。あなたを別の世界に転生させることにします。主に武器や魔法での戦闘がおこなわれる世界ですが、よろしいですか?」
「――おおおおおっ! 待ってましたあああああああっ!」
「あなたの使命は、その世界にはびこる魔王を倒すことです。そのまま転生させると危険なので、特別な能力を授けることにしましょう。ここからひとつ選んでください」
キタキタキタぁぁぁーっ! これだよこれっ!
いいじゃないか、この女神!
今度下ネタ言ったときはちゃんと笑ってやるからな!
俺の目の前に、ゲームで言うメニューウインドウのようなものが出現する。
そこには剣スキルやら槍スキルやら盗掘スキルやら攻撃魔法スキルやら、MMORPGで見るような能力がズラリと並んでいた。
これは……迷っちゃうな。
やはり王道は剣か。
でも魔法も使ってみたいなあ。
この2つのうちどっちかにしろっていうのは難しいものがある。
ゲームなら2キャラ作って両方できるのになあ。
しばらく悩んだ末、俺はダメもとで質問してみた。
「あの、剣と攻撃魔法を合わせて、魔法剣士スキルってダメですか?」
「…………そうきましたか」
「えっと、いやその……ダメですよね。この中にないし」
「いいえ、いいでしょう。ふたつを合わせて、新たなひとつのスキルを作ります」
「いいんですか!? ありがとうございます!!」
やったああああ!
これで剣と魔法の両方を使えるぞ!
提案したときは、意味ありげに女神のまゆがピクリと動いて、初めて表情が変わったもんだからすげービビったけど、うはー聞いてみてよかったなあ。
女神が何やら印を結ぶ。
何かの儀式の準備のようだ。
そして――俺の全身が光に包まれた。
「ではアラタ、あなたは今日から
…………ん?
「ちょっと待て、待て待て待てぃっ!!」
「いけませんよアラタ、真性な儀式が中断してしまうではないですか」
「中断させたいんだよ!! 今お前、何て言いやがった!!」
「転生したら、まずは手術をおすすめします」
「やっぱり! 俺が言ったのは魔法剣士だ! 包茎じゃねーから!!」
「そうなのですか? それは申し訳ございません。わたしとしたことが聞き間違えてしまいました。すぐにやり直しますね」
お前、絶対にわざと聞き間違えただろ。
嬉しそうににっこり笑いやがって。
女神はふたたび儀式を始める。
そして今度は、ちゃんとした魔法剣士だった。
転生前だというのに、俺はすでにドッと疲れていた。
でもこれだけは、ハッキリさせておきたい。
――俺は真性じゃねーからな!
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