転生

第3話 せいなる

 気づけば俺は、真っ暗な空間に立っていた。



 周囲にいっさいの光はなく、地面すら目視できない。

 しかし不思議なことに、自分の姿だけははっきりと見ることができる。

 俺の服装は、部屋着にしているいつものジャージだった。



 それにしても、ここは――いったいどこなんだ?




「……アラタメアラタ。目が覚めたのですね。気分はどうですか?」


 いきなり聞こえたのは女性の声だった。



 ちなみに、改目あらため新太あらたは俺の名前だ。

 そして何もなかった目の前の空間には、声の主が現れる。


 白い翼を持つ、西洋風のこれまた純白のドレスを着た女性だった。

 出るとこ出ていて、ウエストはくびれている、まさに理想のスタイル。

 聖女と呼んでもいいくらいの、清らかな雰囲気をかもし出していた。




 ――つーか、この人誰だ?




「わたしは、せいなる女神です」


「め、女神……?」


「はい。ぶっちゃけると、あなたは死にました」


「――は? あの……あなたいきなり何言ってるんですか?」



 いきなりぶっちゃけすぎだろ。

 しかも目の前の本人に死んだとか言ってるし。

 穏やかな笑顔で言われたもんだから、余計に腹が立つ。



「あら、ぶっちゃけは好みじゃありませんでしたか?」


「いや好みとか、そういうんじゃなくて……」


「なるほど。アラタは――ぶっかけの方がお好みなのですね」


「――――ん? えっと……ぶっかけ?」


「はい、生死をかけているだけに。――ぷっ、うふふふふふっ」



 いやいや、この人何腹かかえて笑ってんの?

 今の、まさか……下ネタ?

 生死をかけるって、言いにくいけど……精子ってことだよな?

 

 俺はつい、茫然としちまったよ。

 美人で清純そうなお姉さんが、まるで酔っ払ったオッサンみたいな下品なギャグを言い出したんだからな。


 そもそも俺、下ネタってあんまり好きじゃないんだけどなあ。

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