→はい

 ・

 ・

 ・


 ぼくは9Gを握りしめて、ちからいっぱい、うなずいた。


 はい。

 はい。

 はい。


 首飾りをください!


 道具屋のおじさんは、にこにこと微笑みながら――。


「おや? それを買うには、お金が足りないようだね。……ほかになにか、欲しいものはあるかな?」


 首飾りをください。


「おや? それを買うには、お金が足りないようだね」


 エンドレスになってしまいそうだったので、ぼくは諦めた。


 とぼとぼと道具屋からの帰り道を歩く。


 お菓子なんて買わずに、お金を貯めていればよかった。

 お金なんて……、他に使い道がないから、ぜんぶお菓子にしちゃってた。

 後悔したけど。もう遅いよね。


 お金。どうにかしないと。

 首飾り。買えない。

 ええと。……いくら足りないんだっけ?


 いまあるのは、9Gだから……。


 ぼくは地面にしゃがみこんで、小石を拾った。


 いっぱい拾う。数えながら拾う。380個ほど拾う。

 380個の小石で小さな山を作ってから、9個、取って、脇にのける。

 そしたら、小山をもういちど数えてゆく。


 残った小石は、371個あった。


 うわぁー。371G足りないんだー。

 うわー。うわー。うわー。


 ……どうしよう?

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