→はい

 ・

 ・

 ・

 はい


 頑張って、思い出そうとしてみる。


 なんだっけ? なんだっけ?

 なんだっけー……?


 ぽん。


 ああ。そうだ!

 マイケルだ。


 ユリアさんに投げ飛ばされたときに、マイケルと離ればなれになってしまった。

 マイケルは、なんか、カエルとして生きてゆくつもりになっていたっぽくて、ぼくは、人間にもどる方法を探していて――。


 それであんまり気にならなくなっていたんだけど。


 気がつくと、目の前のキサラが、ジト目でぼくのことを見ていた。


「ねえ……? ひょっとして、もしかして、聞くんだけど……。マイケルのこと、忘れてたりした?」


 [はい/いいえ]

 ・

 ・

 ・

 はい


「ひどい! あんた、どうして自分がカエルになっちゃったのか、もう忘れたの?」


 なんだっけ?

 ああそうだ。マイケルは、もうちょっとカエルのままで反省したほうがいいってそう思ったので、まだ戻さなくていいよ――って、キサラにそう言ったら、とばっちりを受けて、ぼくまでカエルにされちゃったんだっけ。


「そりゃ……、私だってね、す、すこしは、忘れてたかもしれないわよ……? だって、懲りて反省してるだろうって思って、様子を見に来たら……。いないんだもん。そろそろ戻してあげようと思ってきたら、どっか、行っちゃってたんだもん……。心配して、心配して……」


 キサラは、そこで、はっと気がついたように――。


「――ばっ! ばかっ! 心配なんて、していないんだから! いなくなっちゃったら、どうしようなんて、ぜんぜん思ってないんだからね!」


 [はい/いいえ]

 ・

 ・

 ・

 はい


「わ……、わかればっ……、いいのよっ」


 キサラはそっぽを向いて、そんなことを言っている。

 さっき、口に出して言っていたのを、ぜんぶ聞いていたぼくは、そうじゃないってことを知っているけど……。

 ここは、「はい」って言っておかないと、たぶん、無限ループか、またカエル化のどちらかだと、そう思った。


「とにかくっ! マイケルを探して、連れてきなさい! そしたら魔法解いてあげるから!」


 どうしようか。


「探してきなさーい!」


 はい。行ってきます。

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