→はい

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 ぼくは、こくこくと、首を縦に振った。

 カエルの首はあまり動かないみたいなので、体を上下に揺する感じで、首を縦に振った。


「え? ほんとに? ほんとにいいの? ――って。あはははは。カエルくんに言葉がわかるはずないよねー」


 いえ。わかってるんだけど。

 リリーは、カエルの正体が、ぼくだとは、気づいていないみたい。

 でもぼくは知っている。リリーは発明家で――。変人だけど発明が生きがいの女の子で――。

 その変人の発明家から、実験を取ったら、たぶん、なにも残らない。


 ぼくはリリーのトモダチなので――。

 手伝えることなら、手伝ってあげようと――そう思った。

 そんな、命にかかわるようなことでも、ないと思うし――。

 ないよね?


 ぼくは、にこにこと微笑むリリーに運ばれて、台の上に連れて行かれた。

 お腹を上にして、バンドでしっかりと固定される。


「じゃ。あんまり痛くないようにするからー。すぐ済むからー」


 えーと……。

 えーと。えーと。えーと。


 リリーは、にこにこと微笑みながら――。

 刃物と、ハサミの親玉と、ぶっとい針のついて液体の入ったガラスの筒と、ドリルと、ドリルと、ドリルとを手にして、迫ってきて――。


 そしてぼくは――改造された。


「よし! 実験は成功! 動物を人間に変える実験! 成功よーっ!」


 リリーが叫んでいる。

 ぼくは、鏡に映った自分の姿を見ていた。

 ――ぼくだ。


 ほっぺたに触る。ちゃんと手もある。水かきのついてない手だ。


「でもなんでキミ? カイン君そっくりになっちゃったの? 人間に変える薬を投与して実験したけど……。べつにカイン君に変える薬じゃなかったんだけどなー? おっかしいなー? なんでだろー?」


 リリーは首をひねって、不思議がっている。


 ぼくはリリーの家をあとにした。

 なにはともあれ――人間にもどれて、よかったよかった。

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