第2話 ハゲとイケメン
午後イチ、あたしは総務に呼ばれて総務課長の眩しすぎる頭部(簡単に言うとハゲ)を前に説明を聞いていた。
「いやホントに山田さんだと話が早くて助かるよ。本当にログハウスでもOK出してくれそうだからさぁ」
「全然OKですよ。って言うか、朝より条件良くなってません? 朝の話では8畳ワンルームだったじゃないですか。それが2LDKって、LDKの他にベッドルームもあるって事ですよね?」
「そうそう。いつもの不動産屋がウィークリーに空きが無いって言うから、じゃあ次回からは余所に頼む事にしますって言ってやったらさ、普通の賃貸マンションの一室ウィークリー価格で提供しますって言ってくれたんだよ。ただし一部屋だけって念を押されたけどね」
「いいじゃないですか。一部屋で十分ですよ」
「じゃ、それで決定ね。長瀬さん、さっきの押さえて」
ハゲ、もとい、総務課長が女の子に指示を出すと「はーい」と言って電話をかけている。
「それでね、ウィークリーなら家具もベッドも調理器具も全部揃ってるんだけど、ここ普通の賃貸マンションだからそういうの一切無いんだよね。それで、布団とかは向こうの貸寝具屋さん手配するし、調理器具なんかはどうする?」
「別にコンビニ弁当でも外食でも何でもいいですよ」
「じゃあ、他に必要な物は宅配便で送って貰えばいい。会社の経費で落とすから心配要らないよ」
「はい、ありがとうございます」
さっきからハゲの横で熱心にメモを取ってる男の人がいる。この人がいろいろ手配してくれるのかな。こんなイケメン総務に居たんだ……。
「では他に必要なものが出た時は会社のカードで買い物をするということでいいですね、課長」
「ああ、そうだね。それで手配しよう」
イケメンがハゲに確認取ってる。どーせならこのイケメンと出張したいよ。なんて余計なことを考えていたらイケメンがこちらに話を振って来た。
「日曜日なんですが、京都に移動する前に一度出社していただけませんか。時間はできれば午前10時頃に」
「はい、10時ですね、了解です」
「じゃ、日曜日よろしくお願いします」
「こちらこそよろしくお願いします」
あたしはハゲとイケメンに頭を下げて、総務課を出た。なんか申し訳ないなー。あのイケメンはあたしの出張の為に日曜日に出勤するんだ。総務って大変だな。良かった~ソフト開発Gで。
さ、来週からは京都! あちこち観光しまくろっと!
あたしは無駄に張り切っていた。……今世紀最大のミステリーが待ってるとも知らずに。
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