騒動(前編)

やっと船の町「アカクア」に着いた。

到着早々、町がお祭り騒ぎをしている。

近くに居た老人に声をかけてみた。


「今日は何かの祭りですか?」

「何を呑気な事を言っているんだ! 町長様が船を出してはいけないと言い出してみんなで抗議してるんだよ」

「えー! 船出せないんですか? それは困りましたね」

「困ったどころじゃないよ。 船が出せなかったら今日の飯もどうなるか分からんわ」

「町長さんを説得出来れば船を出してくれますか?」

「ああ、もちろんだ。 しかしあの町長様がすんなり人の意見を聞くとも思えんがな。 まして、部外者のあんたの言葉なんて」

「とりあえず様子を見てきます」

「あ、ちょっと!」


町長は何を考えているんだ?

船の町なのに船を出すなって。


すると港に町長らしき人が町民達に囲まれていた。


「町長様! 今日船を出して漁に行かなければ我々は餓死してしまいます。もう港を封鎖してから1週間ですよ!」

「ダメだ。船を出す事は断じて許さん」

「頑固じじい! ちょっと食べたい魚が手に入らなかったからって八つ当たりするんじゃねえ!」

「誰だ! 今の発言をした者は! 貴様か。いい覚悟してるじゃないか。おい、こいつを連れて行け」

「はっ」

「何するんだよ! 権力を振りかざしてそんなに楽しいか! ああ?」


成る程、食べたい魚が無くて漁師に八つ当たりしたという事か。

子供か!

これは僕にどうにか出来る問題じゃ無さそうだな。

別のルートを探るために引き返そうとした。

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