唖然

なかなかアカクアに着かない。

ブルクスからこれ程遠いのかと思うぐらいに。

するとマリンがある事に気付いた。


「フィンさん、ここ最近似た景色が続いてる気が…」

「え? そう?」

「私、昨日テントを張った木にリボンを結んでおいたんです。そうしたら、ほら」


とマリンの指を指す方を見ると1本の木に赤いリボンが巻いてあった。

確かに同じ場所をぐるぐる回っているようだ。

しかし道は1本道だから迷うはずがない。

何故だ?


「やっと気付いたか! そう。お前達は3日間同じ場所を歩き寝泊まりしていたんだよ」

「誰だ!」

「久しぶりだな旅人さんよ」


すると見覚えのある3人組が目の前に現れた。


「お前達は! マリンのお父さんを襲った奴らだな」

「さあ。誰を襲ったかは覚えてないな。お前達以外は」

「何故僕達は覚えているんだ?」

「そりゃ魔物を使って人を脅し金品を奪ってた俺たちの完璧な作戦を一瞬で壊してくれた奴だからな。恨みは倍返ししなくてはね」

「そんな言い掛かりはよしてくれ。ところで、どうすればこの迷路から出られるのかな?」

「ふふふ。この森の中に1つだけ幻覚で見えている木がある。その木を見つけ出して切り倒せばゴールが出てくる。では僕達は先にゴールで待っているよ」

「待って!」

「何だ!」

「名前。あんた達の名前をまだ聞いていない」

「ああ。そうだったな。俺たちはトラト。悪党だ」

「自分で悪党って言うんだ。幻覚の木を切り倒せばいいんだね?」

「そうだ。この森の木は1500本はあるだろう。見つかるといいな。あははは」


《パラフリマーケル!!!》


「え?」


…ドドドドドドドド!

ズドドドド!!!

ブオオオオオオオ


「ゔっ!!」


「フィンさん! あそこ!」

「おお! あれが出口か。よし、そろそろアカクアだ。マリン、急ごう」

「はい!」


トラトの3人は切り開かれた森の中で呆然と立っていた。


「だめだ。あの旅人には姑息な事は通用しない。何が起こったか分からなかった」

「ああ。物凄い地響きとその後に来た突風。収まったと思ったら生い茂ってた木々が全て切り株になってるんだもん」

「あまりの強さに唖然としてしまったな。これで2回目だ」

「そういえば、あの旅人の名前なんて言ったっけ?」

「マリン?」

「それは女の方だろ」

「えーっと…フィンだ!」

「そうだそうだ! 確かにフィンって呼ばれていた。聞いた事ない名前だな」

「何なんだあいつは」

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