依頼

ブルクスを出た後、次の目的地である船の町「アカクア」を目指した。

星のマークまではまだ遠いが、船でしか行けないある島に用事があった。

しかし、船に乗るにも、アカクアに着くまでにもお金がいる。

どうにか金稼ぎ出来ないかと模索していた時、何やら魔物と必死に戦っている集団に出会った。


「くそ! 強すぎる!」

「しかしこの魔物を倒すのが今回の依頼だ!」

「こいつを倒せば3万ルプだぞ」


“ルプ”とはこの国の通貨単位である。

3万ルプ…。

マリンの武器6個分だぞ。

戦ってるのは3人。

せめて街までの食料費ぐらいは稼げるだろうか。


「あのー」

「何だ! 見て分からないか? 今忙しいんだ!」

「ええ、分かって声をかけてます。お手伝いするので少しお金を頂けませんか?」

「そんなの良いわけないだろ! 邪魔だ、消えろ!」


やはり無理か…

それにしても1匹の魔物相手に3人掛かりで中々倒せないなんて。

そんなに強いのか?

興味本意で剣を一振りした。


ブンッ! ズドドドドドド!!!


「な、何だ!?」

「うお! 倒れたぞ! 遂に仕留めたんだ!」

「誰だ? お前の攻撃か?」

「いや、俺あんな攻撃出来ねぇ」

「じゃあお前か?」

「無理無理、あんなの出来たら最初からしてるよ」

「だよな。じゃあ誰が…」


「あのー」

「お前、さっきの! まだ居たのか」

「僕が倒したので報酬の一部を少し分けて頂けませんか?」

「え、あの攻撃お前だったのか?」

「そりゃスゲー」

「俺ら依頼を受けて報酬で稼いでるんだよ。この辺じゃ名の通ったチームなんだけど、“ノルゲイ”って言うんだ」

「今回はお前の攻撃で助かった。もしかするとこのまま依頼失敗するかもしれなかった。3分の1でも良ければお礼をさせてくれ」

「3分の1…1万ルプも頂けるんですか!?」

「不満か?」

「いえ、助かります! ありがとうございます」

「何だ? あんなに強いのに金が無いのか?」

「稼ぎ方が分からなくて」

「依頼を受けて報酬を貰えばいい。お前なら大儲けだろうよ」

「どこで依頼を?」

大体は町の役所で受け付けているが、たまにこういった道中でも直接依頼される時がある」

「役所か。ありがとうございました!」

「おう! 頑張れよー」


あの人たち、名の知れたチームって言ってたけど、全く聞いたこと無かったな。

あんなに弱いし仕方ないか。


「マリン、とりあえず1万ルプ稼いだからアカクアまでは安心だよ」

「フィンさん、私の弓の腕前を見せる場面は今後無い気がしてきました」

「何を言ってるんだい? 僕だって無敵じゃないんだ。期待してるよ」


本当かよ…とマリンは心の中で思っていた。

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