隣国ーブルクスー

敵出現

 少女の名前はマリン。

僕の故郷スフィンに薬を買いに来ていたそうだ。

マリンの母親は生まれつき体が弱く、スフィンで薬屋をしているカムトの所へ毎月薬をもらいに行っているそうだ。


 カムトは僕の幼馴染。

よく家に遊びに行っていたが、こんな可愛い少女が来ているなんて聞いていないぞ!!


「いつもはお父さんが行ってるの。でもお父さん、先月薬をもらいに行く道中で魔物に襲われて足を怪我してしまったの。だから私しか行く人が居なくて」


カムトすまない。お前だけ抜け駆けしていると思って早とちりした。


「この辺の魔物は人を襲わないはずなんだけどな」

「そう。お父さんもそう言ってた。なのにその時はお父さん目掛けて牙を出してきたって」

「それは一般の人からしたら大事だね」


すると目の前に魔物が現れた。

いつものように素通りしようとしたとき、牙を出して襲い掛かってきた。


「きゃっ!!!」

「マリン!」


僕は咄嗟に呼び捨てしながらマリンを抱きかかえていた。


「…あ、ごめん//////」


照れながらマリンを降ろし、怪我が無いことを確認した。

目の前では唸りながら再び襲い掛かろうとしている魔物。

仕方ない、殺生は避けたいんだけど。

そう思いながら背中の剣に手をかけたとき、どこからか声が聞こえてきた。


「あなた達、怪我をしたくなかったらその場に金目の物を置いて立ち去りな!」

「誰だ!?」

「ふふふ。私達は…」


ビュンッ!ブワアアアアアア!!


「な、何!?」


誰だと聞きいたはいいが、目の前の魔物が今にも飛びかかろうとしていたのでひとまず退治した。

剣を一振り。

さっきみたいな突風と土埃を上げて晴れた頃には謎の声の主も正体を露にしていた。


「ごめんごめん。魔物が邪魔だと思って退治したんだ。で、君達は?」

「せっかく操って人を襲わせていたのに、あんなに軽々退治されるなんて…。くそ!覚えてなさい!!」


そう言って謎の3人組みは立ち去って行った。


「何だったんだろうね?」

「多分、あの人たちが父を襲った犯人じゃないかと…」

「え! そうなの!? じゃあ追いかけて懲らしめればよかったね」

「あ、いえいえ。この道ではもう悪さしないような気がするので大丈夫だと思います」

「だといいけど」


そうこうしているうちにブルクスに到着した。

すっかり日は暮れて町の店は殆ど閉まっていた。


「これじゃあ宿探しも難しいか。野宿かな」

「助けてもらった上に家まで送ってくださった方を野宿させるわけにはいきません。家に泊まっていってください」

「え、いいの?」

「もちろんです!」

「じゃあお言葉に甘えて」


こうして無事ブルクスに付き、宿も見つかった。

それにしてもあの3人組、本当に何だったんだ。


更に向町に行く為、この町で調達するものをリストに上げて布団に入った。

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