第10話

劇団による余興が終わって、裕太は絵美に話し掛けていた。雅彦はいかにも興味なさそうにして、美樹に裕太を頼むと言って、絵美を外で待つことにした。やがて、外に出て来た絵美は雅彦を見つけると、仲間に声を掛けてこちらに向かって来た。


「絵美ちゃん!」

「久しぶり!どうだった?」

「面白かったよ。劇団員だったんだね。」

「そうよ。イヤらしいの想像してたでしょ。」


図星過ぎて雅彦は言葉を失った。


「いいよ。わざとそう言ったんだから。」

「いや、失礼しました。ところで、さっきの電話。」

「あー、見つけたからさ。サプライズしようと思って。」

「明日って言ってむちゃくちゃ後悔して、落ち込んでたんだよ。」

「すぐって言ってくれないなと思ったよ。」

「ごめん。」

「でも、会えたでしょ。プロとして。思ったより早かったんだけどね。」

「会えたね。早いとは思えなかったけど。次は?次はいつ会える?」

「裕太くんに渡したよ。」

「そっちかあ。分かった。」

「じゃあ、私行くから。」

「また、会えるよね。」

「会いに来てよ。」

「いつでも会う。すぐに会う。」

「ありがと。じゃあね。」


そう言って戻る絵美を見届けて、雅彦はパーティーに戻った。

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