第30話 バタフライハント その1
「カティア=ナットリー。」
「イルフ=ポーゴ。」
「アルフ=アクベンス。」
「ケイティ=ミューズ。」
玉座に座する皇帝の前に跪いた4人。
「頭をあげよ。事は急を要するものであった。ここに招集された理由について知らぬだろうから説明しよう。」
皇帝はいつもと違い、たどたどしさが言葉の端にあった。
ただ事ではないと感じたのはケイティだけではない。
「賊が国に入り込んだ。目的は我が命であると被害にあった兵に書いてあったとのこと。城下の警備強化にあたり4名、含め既に近隣の警備に当たっているアイリスディーナと連携して命を賭けて守れ。」
最後に大きくため息を吐くとベルを鳴らし、謁見終了の合図をした。
部屋を後にする面々に目もくれず、皇帝はいそいそと自室へ帰って行った。
皇帝の間に繋がる扉が音を立てて閉じるとアルフは階下へ降りようとし、カティアは廊下をまっすぐ歩いていく。
「待ちなよおまえら。アルフとカティア。」
イルフが中性的な声で呼び止めた。
「話聞いてなかったのかい? 陛下はなんと仰った? 俺たちに必要な事があるよね?」
ケイティはイルフの声を聞いたことがあった。
金髪を肩まで伸ばし、小さめの身体から穏やかそうなイメージを持っていた。
しかしこの短いやりとりで印象は崩壊した。
「さっさも戻ってこいつって。連携しろって言ったんだろ? ひとりでやりたいのは俺も同じさ、足手まといなんていらねえからな。だがひとりでやる前にまず形式だけでも話を合わせようぜ。なあ。」
怒りを隠さず、むしろ撒き散らすかのように言葉を紡いでいく。
悪態をつきアルフは戻り、カティアは制止も関係なく廊下の奥へと消えていった。
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