第25話 染めるは赤 染まるも赤 その3
ケイティは気を失わぬよう唇を噛んだ。
骨が折れ、口からも血が流れてくる。
杖代わりになる武器もない為、その場に弱々しく立つ。
空中の赤は標的を見つけると同時に地面へ突進を始めた。
炎を吐けばケイティは避けられないだろう。
喰らう為。
動物の摂理がその行動を促したのだ。
「よし、今だ!」
かすれる目の中に、自分の部隊が映った。
今回は200名ほどで来たが、全員いるのではないだろうか。
弓を構え、ドラゴンに向かい一斉に発射された矢はひとつの刃のように腹を突き刺した。
咆哮とは違う弱々しい声が響いた。
勢いを失った竜は力なく墜落していく。
射線上にはケイティがいた。
「た、隊長ーーー!」
人の叫びが竜の声を消した。
墜落の轟音すら響かないほどの、大人数の叫びだった。
横たわった竜の腹に満遍なく矢を浴びせ、弱った翼と手足を特製の紐で縛り上げた。
すべてが終わり、安全を確認したのはそれから5分ほど後だった。
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