第24話 染めるは赤 染まるも赤 その2


竜の咆哮を間近で聞いた者は心が凍りつくと言われている。

それは力のある竜の証明らしいが、そんな判断ができる余裕がないと足元で思った。

ケイティはまず、この竜が会話のできる存在かを見定めることにした。

そして、それはすぐにわかった。

真っ赤な炎がケイティを襲う。

風の魔法で自らを吹き飛ばし、難を逃れた。

こうして2つ目の作戦は完遂されたのだった。

空中に飛び上がるドラゴンは、竜殺し(ドラゴンチャーム)の魔法具を持つケイティのみを狙う。

風の魔法で自らを吹き飛ばし、その間に弓兵が柔らかな腹を射撃するのを意図しての作戦だった。

手練れが放つ無数の矢は腹に刺さるが、届くまでに弱まり威力は望めない。

魔法は試したが、伝承通り竜鱗に通用しない為、炎から味方を守る手段として用いていた。

ジリ貧だった。

ケイティは自らで自らを傷付け続け、いずれは倒れてしまう。矢も魔力も尽きるまで時間の問題だった。

甘かった。

全員を傷付けない為の作戦だが、問題として浮き彫りになるだろう威力不足が顕著に出てしまっている。

「みんな、すまない。」

次の魔法は、自らをドラゴンへと飛ばす為に使った。

背に乗り、竜鱗の隙間へと短剣を突き刺す。

悲鳴を上げ、暴れまわるドラゴンは痛みを振り払おうと火炎を吐き、自らを攻撃する。

ドラゴンチャームが効果を失わない限り、ケイティだけを狙う。

どのような攻撃が来るかは未知であった。

防御をすることはできない、故に覚悟はあった。

数分粘ったが尻尾の直撃を受け、彼女は空中から地面へと吹き飛ばされた。

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