第23話 染めるは赤 染まるも赤
「全隊員に告ぐ! 魔物に関しての有力な情報があった。大人数で行くことは叶わぬ相手であり、討伐すれば誉れとなろう。先頭は私が行く。続く勇の者を集おう。相手取るのは竜、ドラゴンだ!」
隊はざわめく。
魔物と竜は違う。
魔物は人間に害をなす存在で、あちらから現れる。
竜は分類によるが人間とまみえることなどない。
あくまで伝説上の存在。
ケイティには隊員からどう映るのかがわからない。
命とあれば戦う。
その姿勢を隊員すべてに押し付ける事が正しいのかすら疑問に思っているのだ。
自分がどんな表情をしているのか。
そんな中、ひとりの青年がケイティの前まで走ってきた。
「警備隊ゼデン=イマーキス! 少ないながら魔法には心得があります! ドラゴン討伐に連れて行ってください!」
その行動が火蓋を切った。
次々と志願者が現れ、当初の枠まで絞りきれずに総勢30名の部隊で向かうこととした。
軽装で歩くこと3時間ほど。
近付くにつれて聞こえてくる唸りは人間を畏怖させる。
歩みが遅くなるのも無理はない。
「ここで退くことは臆病ではない。あのとき志願してくれたこと、私は嬉しく思う。あの唸りを聞き平気な者などいない。私も足が震えて止まないのだ。ここで待つならばそれもよしとする。その者には、我らが敗北したときの伝令を頼みたい。決は取らない。姿を見ても心の折れぬ勇を宿す者は我に続け。」
ケイティは歩みを進める。
振り返るのが怖い。
もし1人で戦うとすれば、カティアと闘技場で戦った比ではないのだろう。
震えから歩みが遅くなっていた。
「隊長、そんなに遅いと一番槍は貰っちゃいますよ!」
ゼデン=イマーキスだった。
なあみんな、と朗らかに言う。
返ってきた声に、ケイティは胸が表情を明るくした。
「私に策がある。」
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