第20話 日常


「なかなかな挨拶だったと聞いた。」

兵が騒ぎ、表に出るとカティアがいた。

お茶を配られ、2人きりになった途端に仮面を外した。

「あつい。」

初対面の時このだらけた声に騙されて悲鳴を上げたことを忘れていないケイティはついつい身構えてしまう。

「ところで要件は?」

「ない。ただ談笑をしにきた。」

ケイティはずっこけた。

カティアは信じていると言いきった。

もしや、これは友達という奴ではないだろうか。

「カティアは無口だってもっぱらの噂だったんだけど、そんなことないんだね。」

「無口なつもりない。信用できない人とは話さない。少しでも秘密がバレないようにもしている。」

部隊前挨拶で「1年間、よろしく。」としか言わなかったらしいカティアだが、確かに全員を信頼の対象に置くことはできないだろう。

「質問なんだけど、いい?」

「よい。」

「私の戦い方が信用に値するなら、アルフ=アクベンスは? あんな一直線な戦い方他に見ないけど……。」

カティアは首を横に振る。

「あいつは要人殺し、いわゆる暗殺者。胸糞悪い手でも良しと思えば使う。それに。」

カティアの顔が、しまった、と言っていた。

「んじゃ次の質問ね。」

「よい。」

「カティアは何歳なの?」

カティアは怪訝な顔をした。

なぜそんなことを聞くのか、またしても表情で読み取ることができた。

確かに仮面をつけていない方がいいかもしれない。

「別に、ただ同い年だったらもっと仲良くなれるかなと思っただけだよ。」

「29だ。」

即答する辺りが可愛いところだ。

戦闘になるとすさまじいが、その分こういうところが抜けているのかもしれない。

「お姉さんだ、私は27歳。」

見るからにしょぼんとする。

「あ、別に同い年じゃないから仲良くなれないってわけじゃなくて……!」

談笑はしばらく続いた。

この会話を断ち切ったのは、次の作戦命令だった。

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