第18話 処女×金牛 その2


ケイティはいつもの糸とは違い、少し太めのロープを持って走り出した。

アイリスディーナは槍を薙ぐ。

躱して暗器を投げ、再度距離を置く。

着地地点を狙い、槍が飛んでくる。

地面をえぐった槍が持ち主の元へ帰っていく。

その槍に、ケイティがくっついていた。

「な、なにを企んでいる?!」

会場が一気に沸いた。

それはヒーローが悪を倒す瞬間にも似ていた。

槍が手元に戻る前に魔法がくる。

攻撃するものか、侵入者を拒む城壁のようなものか。

その2通り、両方を避けられる策としてケイティは考えた。

槍が見えなくなれば行動が読めなくなるため、風の魔法は直前で放つ。

砂埃に乗じて、もう一度風の魔法を放つ。

それは自分の身体を空中に飛ばす為。

相手の真上に来たら最短距離で落下する。

それに槍で迎撃がくる可能性がある。

ただそのときは魔法が解けているはずだから狙いを外すように風の魔法で蛇行しながら落ちる。

最後は。

「弱点は、戦うための武器はしっかり守れるけど、こんなロープで首を絞められるってことを想定していないこと。」

アイリスディーナの懸念は当たっていた。

ただひとつの誤算は、ケイティの目には最初から弱点が映っていたことだ。

締まる首は鎧の隙間に入り込み、掴むことができない。

戻ってきた槍は手に収まらず地面に落ちた。

「試合終了ーー!!」

致命に至る攻撃と認識されたようで、ケイティはドラの音とともに腕を高く上げた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る