第11話 処女×白羊
左腕の麻痺が抜け切らないまま、鉄格子の前にケイティはいた。
あの白マントが誰なのかはわからないが、こんなハンデを背負って勝てるのだろうか。
ゆっくりと、試合が始まる時間に合わせてカティアは現れた。
歩くスピードに合わせるかのように格子が開き、真ん中にたどり着いたときドラが鳴った。
「試合開始!」
斧を重そうに担ぐと、カティアはそのまま歩いてきた。
1歩ずつ距離を詰められ焦るケイティは、考えていた策が使えなくなってしまったため新たな手段を考えている。
間合いに入ったか否かのところでカティアは足を止めた。
それだけで額に汗が流れる。
「ねむい。」
「はアァァァァ?!」
呆れ声はそのまま悲鳴に変わった。
居合いーーではない。
そもそも居合いとは座ってやるものらしく、立合いがより正しい。
更に言うなら居合いとは一太刀目を防御とするものなので抜刀術に近いーーだが抜刀術も居合いも、納刀状態から行うもの。
自分の頭を納得させようとするが、相手の一撃が誘った動揺は計り知れない。
いや、名前などないのだ。
そう思うとケイティはただの不意打ちと納得できた。
「よくぞ。」
無口だと聞いていたカティアの言葉が聞けるとは思わなかった。
しかし言葉と無関係だと言わんばかりに大きな斧がケイティを狙う。
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