第5話 戦闘準備


城内に入り、そのまましばらく進むとそこには闘技場がある。

兵たちの実力を競う為に作られたものだが、隊長格も例外ではない。

これからあの場で、国民に見られながら戦うのだ。

馬車を降りるとまだレオルネント=マリスネアが控室に行かずそこにいた。

金髪を長く伸ばし、女性を虜にすると言われる甘い顔立ち。

どのような手合いなのかを知る者は聞く限りいない。

「やあ、9の月。」

高圧的にレオルネントは言った。

はじめまして、よろしくお願いします。

その一言を言う暇もなく、

「俺は平民出は容赦なく叩き潰す。」

踵を返すと、そのままいなくなってしまった。

呆然と立ち尽くす。

種族が違う、言葉が違う。

様々な差別は存在する、もちろん男尊女卑すら。

この帝国は実力主義であり、力の強い者が強いのだ。

だが実際は、出生の違いですら偏見を持つ者もいるのだ。

それがよりにもよって隊長格とは。

「……許せない。」

ケイティもその場を後にした。

すぐ後ろから来ていた10の月、モノルフ=ポーゴ。

「怖い、女……?」

ケイティとは戦いたくない。

少し間を空けて階段を上った。

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