第36話親父の憎悪と殺意
俺と麻由さん、そしてスミレの三人は完全に
中型ジェット機なら
絶え間ないサイレン。消防車が数台、少なくとも5台、が13番倉庫を取り囲んで
俺たち三人は、騒ぎから少し離れた自動販売機の近くで、缶コーヒーを飲んでいた。
日の出はもうとっくの間に過ぎていてる。郊外に住む労働者なら通勤のためにすでに電車に乗ってる時間だ。そんな時の、中心街に隣接する倉庫の大火事である。
「別に気にしなくていいよ」
「何のこと?」
「お父様との関係」
「お父様の
「麻由さんは……何を知ってるの?」
「
「あなた、今回の件、よくやってたよ」
「何もお父様に引け目感じることはないと思う」
そうだ、俺はずっと
つまり、親父のせいで俺の人生は行き詰っていたのである。
今回の件はそれらを解決する糸口になったのだろうか。
腰のホルダーに入っているスマホが
俺は
ーーー司よ、元気だろうか? 私はオマエの父親だ。今日はオマエに一つ、告白をしようと思う。私が
スマホには親父からのメールが届いていた。そこには俺に対する
「親父よ、そんな言い方があるか。オマエの
俺はがっくりと失望した。俺はその場で四つん
何も知らないスミレが俺の元に駆け寄り、やさしく語りかける。しかし、その言葉は俺の右耳から左耳へ通り抜けていった。
俺は麻由さんを見上げた。いきなり俺が
どういうことだろう?
俺の手から放り出されたスマホと缶コーヒーが地面に落ちている。アスファルトの上に流れ出るコーヒー。
第九諸島連邦国の人々の間を、ジェリービーンズタウンの倉庫街で起きた大火事のニュースが駆け抜けた。それと共に鈴木大介が死亡したことも伝えられた。しかしその騒ぎも一瞬のもので、あっという間にその座は政治家の不倫スキャンダルに取って代わられた。
ジェリービーンズタウンは夏を迎えた。めずらしく蒸し暑い夏だった。
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