第33話呪いを解く儀式、その1
13番倉庫。CEOによると鈴木大介はそこにいるらしい。
俺とスミレは目的地へと急いだ。一刻も早く大介を殺さなければならない。それが俺に
深夜の倉庫街は街の
「昔を思い出すわぁ」
スミレが言った。独り言のように、俺の存在を忘れてるように。
「私が子どもの頃、夜、父さんと二人で
スミレは寂しげに告白した。俺は黙って聞いていた。決して嫌な寂しさじゃなかったからだ。
「二人でバッグに安っぽい人形をたくさん
スミレは泣いているんだろうか。
「……ごめんなさい、こんな話」
さすがに俺たちはしんみりしてしまった。
「今、お父さんは?」
「田舎でラーメン屋やってる」
「元気なの?」
「うん」
俺たちは無言で歩き続けた。
「大介って男、倉庫で何やってるんだろう?」
「パーティー?」
「あり得る」
俺はこれからのことに思いを
後ろから赤のワゴンカーがクラクションを鳴らしながら近づいてきた。CEOが運転している車だ。車は
「こんばんは、それともおはようかしら?」
「こんばんは、にしとく」
あいさつの後、麻由さんは心地よい睡眠を
「助かったよ、ナイフで
麻由さんは答えに
「できるだけ早くと思って
CEOが運転席から降りて言った。開いたドアに腕をかけあくびをした。
「ありがとう、もう帰っていいよ、あとは俺たちに任せろ」
CEOが黙って俺の背後を指差した。振り返ると、そこには13と書かれた大きな倉庫がある。13番倉庫だ。この中に大介がいる。
CEOが乗り、赤のワゴンカーは
俺たち三人は13番倉庫に向き直った。目の前の13番倉庫は中で大統領選挙の集会でも
倉庫の正面脇にあるドアの前には誰もいない。俺とスミレ、そして麻由さんは中へ入っていった。
俺はこれから人を殺すのだ、と覚悟を決めた。
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