第31話すべてが明らかになる、その1
「防犯カメラには
「大丈夫、カメラのレンズに
すかさず俺はCEOを安心させた。
赤いワゴンカーの中には四人いた。俺と瑛太、スミレ、そして鈴木屋コンツェルンのCEOだ。先ほどCEOは自ら車を運転をしながら自己紹介をした。助手席にはスミレ、後部座席に俺と瑛太がいる。
CEOは
「驚きかね。自分で、しかも他社の車を運転するなんてな」
確かに赤いワゴンカーは鈴木屋コンツェルンとはライバル関係にある自動車会社のものだ。CEOは
「他社の車は研究のためよく乗る……実は若い頃から車の運転は好きでね。いい気分転換になる。私はマニュアル車を操作する
「マッシュ君の動きは
CEOが勝ち
「スミレさんの友人、ルリさんを殺したのは我が息子の大介だ」
CEOの告白にスミレが息を飲んだ。
「私にも詳細がわからんのだが、大介がまだ犯罪に慣れていない頃の出来事だ。事件がマスコミに発表されてから大介の犯行だと判明した。そのため我々はもみ消すことができなかったんだ。その後改めて警察に圧力をかけたんだが、アンチ鈴木屋コンツェルンの警察幹部もいて上手くいかなかった」
「さっき殺した恐喝犯の連中はそのことを知っているような
俺はわからないことを素直にCEOに質問した。
「大介の
「
スミレがボソリと一言発した。
「ジェリービーンズタウンを騒がせている女性誘拐事件の犯人も大介だ」
「それは聞いてる」
「被害者たちは今も自宅の
「どうやって?」
「鈴木屋コンツェルン配下の製薬会社で作っている記憶を消す薬を彼女らに
「それはちょっと自分勝手や過ぎないか?」
「キミは面白いな。私みたいな
「俺は、
「ふん、我々が
ちっ、CEOの方が一枚上手だ。汚いやり口の追求の手を、 CEOは俺をおだてることで
「とにかく大介がしでかしたことを表に出すわけにはいかない。もしバレれば我が企業体は存続できないほどのダメージを受ける」
CEOの発言を聞いて俺は深いため息をついた。
「キミだってお父さんの
「忘れてた。これはアンタに渡せばいいのかい?」
俺は小野田から受け取ったUSBメモリーを、運転しているCEOに、後部座席から差し出した。これにはCEOの息子である大介が運営している違法売春組織の顧客データが入っている。そして俺の親父の名前も……。
CEOが前を向いたまま受け取る。
「そもそもこの顧客データはどうやって外部に漏れたんだ? キリトは大介の自宅からじゃないかと言ってたよ」
「それも今となってはわからん。大介のパソコンがハッキングされたのかもしれんし、直接大介の部屋に誰かが侵入したのかもしれん」
「ちっ、謎の究明ってこんなものかね。わからず
CEOの答えに俺は投げやりになった。
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