第27話城砦のような高級マンション街
金曜の夜、暗黒の空の下、LEDの街明かりの中を、俺は全力で走った。リリアの自宅マンションへ行くには
走るスピードを上げることと通行人を上手くかわすことを両立させなければならないのは
右手に下げたポリ袋が邪魔だ。さっきスーパーマーケットで食材を買った。リリアのためにきゅうりとサバの酢のものを作るためだ。走るリズムに合わせ切れず、友情という荷物の入ったポリ袋が、あっちこっちへ行こうとして、ふくらはぎにバコバコ当たる。
突然、アキレス
リリアの自宅マンションに到着する。いわゆるタワーマンションだ。規模の大きさが俺を
「あ、待ってたよ、マッシュ、入って」
玄関ドアが開き、俺は、バスケットボールができそうな広さのエントランスへ。中央のカウンターテーブルで誰かと電話をしているコンシェルジュが、汗だらけでスーパーマーケットのポリ袋を持った俺に冷ややかな視線を向ける。俺はそのまま奥の4台並ぶエレベーターの
「マッシュ、3番のエレバーターに乗って」
NO.3と書かれたおしゃれなプレートが
まるでリリアの体内へ侵入していく
俺はリリアとの友情に酔った。
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