第23話ソクラテスタワーでの嫌な予感、その1
「なぁなぁ、マッシュくんのお父様は一体どんな
小野田は明らかに俺をおちょくっていた。
ジェリービーンズタウンの中心部にソクラテスタワーはある。高さ425メートル、えんぴつに近い
大震災後、鈴木屋コンツェルンが国の補助金を利用して、ジェリービーンズタウンの
ソクラテスタワーが完成した時、第九諸島連邦国は国を挙げてお祭り騒ぎをした。我々は大災害から完全に立ち直ったのであるというわけだ。
高層ビルが乱立するエリアでもひと
今、俺と小野田はソクラテスタワーの展望台にあるカフェでコーヒーを飲んでいる。ウィークデイなのに
カフェは、インテリアというものから
「売春組織の顧客データに
ここの店のブレンドコーヒーはとても美味しいようだ。目の前の小野田の飲み方がそれを示している。俺はそれを確認するように注文したカフェラテを飲んだ。確かに美味い。
「俺を忘れたとは言わせないぞ」
一転、笑顔を消し、小野田が右手人差し指で自らの曲がった鼻を指し、気味悪くささやくように言った。
とてもじゃないが冗談で、憶えてないよ、とは言えない空気だ。話を聞くと小野田は、昔、いざこざで俺が
「オマエを殺してやりたいくらいだ」
「殺さないんだ」
「当たり前だ、俺が損をする」
「……そうか」
「殺されたいのか!?」
「いや、どうせ殺されるなら相手は美女がいいなって」
「……なんだ、その言い方、余裕ぶっこきやがって!」
どうも俺はある種の男たちを激怒させる悪い
小野田は
「そろそろ時間だ。こっちに来い」
小野田は立ち上がり、すぐそばの高さ380メートルから外を展望できる大きなウィンドウに近づいた。俺はとぼとぼ小野田について行く。どうもこいつといると気が
二人でウィンドウの前に立つ。俺がもし巨大怪獣になったら大統領にこう
それらを一望しながら俺はとても嫌な予感がした。
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