第20話間奏

「アンタにはなぜこうもイラつくのかね?」

 瑛太が俺に気持ちを吐いた。

「なんだよ、口調も変わっちゃって」

 俺はとぼける。

「育ちがいいからか」

 瑛太のつぶやきに俺は何も答えなかった。


 車と後続の中型トラックは混みいった住宅街に侵入した。細い道をゆっくり走る。瑛太が運転席のパワーウィンドウを開けてタバコを吸い出した。


「絶望を知らないアンタはそこそこ上手く生きびて、やがて痛い目にうだろう」

 瑛太は表情を変えず、助手席の俺をチラリと見て言った。タバコの煙がこうばしい。


 やがて俺たちは古いマンションに到着した。

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