第17話愛することを憎め、その2
「
キリトは
「私はこの娼館である D−7、つまりディーセブンをマネージャーという
事務所として使用しているリビングルームには俺とキリトの他に瑛太もいる。瑛太は本棚の本を確認しながらダンボール箱に入れ、荷造りしていた。紙の本は歴史書や経営戦略本が多い。事務所は近いうちに引っ越すようで三人がいるリビングルームには家財道具とダンボール箱が
「キミに、正式に依頼するよ。私たちと恐喝犯の仲介役になってくれ」
キリトは
「あ〜ぁ、やっぱりマッシュが乗り出すんすか」
「ふふふ、いやか?」
「俺は気に入らねぇっす」
「オマエにはマッシュの下で働いてもらう」
「うへぇ〜、ツイてない」
瑛太がゴネてキリトが余裕をかます。
「キミの評判は聞いてるし私も十分わかっているつもりだ」
俺はハウスダストが舞う室内でソファーにすわり、思いの
「ボスの周辺では D−7を店じまいしようとしている。今回の事件が起きて違法ビジネスを止める
キリトが寂しそうに続ける。
「終わり良ければすべて良し、キミの力で一切金を払わずに顧客データを取り返してほしい」
キリトがデスクから足を下ろした。椅子にすわり直しキリトが言う。
「頼むよ、マッシュ君」
「ところで D−7のボスってどこの誰なんだ?」
俺は順番通りにわからないことを質問した。
「 D−7を作ったのは
重要な秘密をキリトがつらつらと白状する。鈴木屋コンツェルンとは俺たちが住む
「D−7の娼婦でルリという女が殺されたじゃないか。彼女の死とボスが関係しているという噂を聞いたのだが、知ってる?」
「ボスは殺しはしないね。女を誘拐はするけど」
瑛太が分厚い紙の本を選別しながら言った。
「なんだそれ? どういうこと?」
「ジェリービーンズタウンで金曜の夜起きる女性誘拐事件の犯人はボスなんだよ。鈴木大介っすね」
瑛太が俺に上から目線で極秘事項を
「そもそも動画配信サイトを使った売春組織を思いついたのがボスだったんだ。当時高校生だよ。それを彼の使用人が私たちを集めて
キリトがそう言いながら本棚の前にいる瑛太に近づき、続けた。
「それにボスは女に対して特別な思い入れがあるようだ。私の元に恐喝メールが届いてからボスは女を誘拐するようになった」
「本当に殺しはしていないのか?」
スミレの悲しい顔が浮かび、俺はしつこく二度聞いた。
「鈴木屋コンツェルンはここ第九諸島連邦国全域に及ぶ権力を持ってる。警察に圧力をかけることもできる。なんならボスが裏から病院に手を回して死亡診断書だって偽造できる。わざわざおおっぴらに殺人事件なんて起こす理由がない。ボスなら殺人事件なんていくらでももみ消せるんだよ」
「だったら売春組織がバレることを恐れる必要だってないじゃないか」
「世間の目というものがある。鈴木屋コンツェルンに反感を持ってる貧乏人も多いしな。D−7の話が
俺の
「これ全部リサイクルショップへ持って行かねぇすか? これから本はタブレット端末で読みましょうよ」
「うるさい、俺は紙の本が好きなんだよ」
本棚の前で瑛太とキリトが
「しばらく誘拐事件は起きないだろう」
キリトが
「なぜ?」
俺はあわてて聞いた。
今日、色いろな情報が耳から入ってきてなかなか整理ができない。その俺を笑うように横から瑛太が答えた。
「ボスの自宅にある
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