第15話安眠

 やはりジェリービーンズタウンで俺の名はみんなに知られてるようだ。

 そこで恐喝犯と売春組織との仲介役に俺が指名された。無職でプラプラしてると人目ひとめくのだろう。訳ありの俺には適役ということか。もちろん流出した顧客データにっていた俺の親父のせいもあるがね。


 俺は自宅マンションの近くをランした。昼間、週に何回か5キロほど走っている。毎日働いていないのでボ〜ッとしてると生活にメリハリがなくなる。肉体を動かす時間を作ることは精神衛生上せいしんえいせいじょう、とても重要だ。


 昨夜の件を受け、これからのプランを考えながら住宅街を走った。瑛太からは「まず売春組織のリーダーであるマネージャーに会ってくれ」と言われた。確かにそれが近道だろう。まず現状を把握はあくしなければ何も動けない。


 俺は汗を流し、帰宅後、瑛太から聞いたマネージャーのスマホにメッセージを送った。


 今日は金曜日だったが、結局、ジェリービーンズタウンで毎週恒例となっている誘拐事件は起きなかった。犯人は心を入れ替えたのだろうか。一か月ぶりの静かな金曜の夜だった。睡眠障害の神経衰弱者しんけいすいじゃくしゃもぐっすり眠ったことだろう。

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