第14話顧客データ流出
火のついたロウソクを持った男に
「どうぞ中へお入り下さい」
男は赤いドアの横で立ち止まり俺を
「失礼します」
俺はノックをしてドアを開けた。
室内はオレンジ色の光で満たされていた。傘つきの照明器具が天井中央からぶら下がっている。生活感のある部屋。ウッディーなダイニングテーブル、ほころびのあるフェイクレザーのソファーなどがある。足の下はオリエンタルな模様の
男が壁に足をついてロッキングチェアーに座り、ピストン運動のようにわざと自分を
「あ、来た」とスミレ。
「こんちわ〜す」
男が立ち上がって言った。
「話ってなんだよ?」
俺は
「俺、
俺も自己紹介をして瑛太と名乗る男と
「やぁだぁ〜、マッシュ、顔暗い」
俺は能天気なスミレの発言を聞いて
「ここは年金暮らししてるある老人の部屋なんす、俺たちの上層部と知り合いなんすよ。アンタと話すためにちょっと借りました」
「今、おじいちゃんはパチンコしてるって」
瑛太とスミレが余裕を持って話した。すべて
「何か問題でも?」
スミレが俺を呼び出した理由を
「それが……」
「言っとくけどこの問題にアンタが首を突っ込むのはあまり気持ちのいいもんじゃないんすよね、俺は」
スミレも瑛太も本題に入りにくいらしい。
「俺たちが組織的に売春をしていることはスミレから聞いてるんでしょ?」
「ああ」
「今回その
瑛太が
「マネージャーのスマホに犯人から
「目的は金らしい」
「ゆすられてんだ」
「そうっす」
俺の相手をしながら高さのあるテーブルに座っている瑛太が、宙に浮いた両足をブラブラ遊ばせている。
「アンタにトラブル処理をしてほしいんすよね」
「俺を
「ところが、みんなのそれを望んでいるんすよ」
「がっくり」
「
「マネージャーもそれがいいと」
「なぜ俺に? 関係ないじゃん」
「……ふふふ」
瑛太が意味ありげに笑った。スミレが同情するような目で俺を見ている。
ここはジェリービーンズタウンの北にあるスラム街の一角だ。治安も悪い。コンビニ強盗は
瑛太はいじめるようにゆっくりと、俺が作戦参加しなければならない理由を語った。
「実は俺たち売春組織の顧客データの中にアンタの父親の名前が入ってるんすよ」
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