第10話アンモナイトの秘密、その1
歩き回るのは好きじゃない。
たまに脳みその容量を超える時がある。昨日がそうだ。ジェリービーンズタウンのあちこちを行ったり来たりした。収穫はリリアにもらった手作りナイフとスミレという女の連絡先、そしてルリの死の謎。
しばらくのんびり過ごそう。せわしない日常は俺の
ふとタブレット端末を
昼はとっくに過ぎている。俺はネットを切ってデニムを
腹が減った。キッチンの冷蔵庫をのぞいたが美味そうなものがない。俺はリビングルームのソファーにすわり、前のテーブルにあった袋入りのアーモンドをつまんだ。
アーモンドをポリポリかじる。俺はボーとしながらなんとなく親父のことを考えた。
あれは夏休み、俺が小学2年生の時だったと思う。親父が車で遊びに連れて行ってくれた。母親にはプロ野球のデイゲームを見に行くと言って家を出た。ところが親父と俺を乗せた車はジェリービーンズタウンを遠く離れ山へと向かった。
行き着いた先は小規模な
「太古の昔ここは海だったのだ」
親父はなぜか自分を誇るように言った。
周囲の風景がコンクリートに埋め尽くされていた街より空気が冷ややかなのを感じた。
親父によるとそこは
「ママには内緒だ」
親父は渓谷に来る途中スーパーマーケットに寄って買ったリンゴをかじりながら言った。
俺は塩味のアーモンドをお供に多少の
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