夢を見よう
変な夢を見たので、書き留めておきます。
舞台は高校の体育館のようでした。私を含めた何人かの生徒が、体育館の壁に習字の作品を貼っていきます。文化祭か何かの展示なのでしょう。
題字は「夢」あるいは「希望」の二種類だけのようでした。私たちはせっせと「夢」と「希望」を壁に貼り付けていきました。
奇妙なのは作品の全てが同じ筆跡だということです。作者名は違えど、どの字もまるでお手本のように均整のとれた丁寧な字です。ぴったり一致しているわけではありませんが、どれもこれもが似通った印象を与えます。
私たちは黙々と画一化された「夢」と「希望」を並べていきます。どのくらい時間がかかったでしょうか、何分夢のことなのでよくわかりませんが、暫く作業をすると体育館は「夢」と「希望」にあふれていました。
それは圧倒的な印象を見る人に与えます。体育館の壁は隙間なく、狂いのない「夢」と「希望」に覆いつくされているのです。不気味な光景でした。
やがて先生がやって来て、眉を顰めながらもこの光景を褒め称えました。なにせ非難する要素はありません。美しく整った字で、美しい言葉を書いているのですから。
私たちは何とも言えない顔で先生に相槌を打ちます。誰もがこの光景の異様さに気づいていながら、何も言えなかったのです。
そこに一人の女生徒が半紙を持ってやって来ます。遅れて作品を提出しに来たようです。
半紙には豪快な筆致で「爆笑」と書かれていました。私たちは一瞬間を空けてから爆笑しました。
遅れてやって来たのは高校生の時分の玲子ちゃんでした。もう少し夢は続いたようですが、その部分は残念ながら忘れてしまいました。
さて目覚めた私ですが、なんと不思議な夢を見たことでしょう。夢が何か暗示的な、いやむしろここまで来ると明示的な主張をしたがっているようです。フロイトやユングなら面白い解釈をしてくれるかもしれませんね。
今の私に立派な将来の夢なんてありませんし(昔の私にもありません)、希望に満ち溢れているかというとそういうわけでもないです(まあ楽しんで生きているつもりですが)。
私はただ日々を過ごしていくだけです。それだけで精一杯なのです。なにせ、「女の子なのに字が汚い」と昔からさんざん言われ続けてきましたからね。
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