学生時代の思い出は何ですか?

 今日はサークルに顔を出すことにしました。夏期休暇中は帰省していましたので、久々の参加です。

 大学会館の中の喫茶店に行きますと、一つ上の生物学科の先輩がいました。このサークル、ピトルスの主宰です。ちょっとした女傑であります。

 ちなみに我がサークルの正式名称は、「ワンダーフォーゲル部のような同好会、仲良しお出かけサークルピトルス」という不思議なものです。就活中にサークル名を明かすことが憚られますね。

 当然大学から公認もされていませんので部室棟に割り当てなどなく、この大学会館の喫茶店でよく活動しています。後は人のいない時間帯の学食とか。

 一応課外活動を旨とするサークルですので、今回はその打ち合わせと言うことになります。遊びに行くだけですけどね。


「久しぶり。実家はどうだった?」

「お久しぶりです。まあのんびりしてきましたよ。先輩はこっちにいたんですよね?」

「うむ。バイト漬けの日々だった」


 そんな会話を交わしていると、八崎やざきさんがやってきました。一つ下、法学部の後輩です。

「お待たせしましたー」

「よし、全員揃ったね」

「あれ、聡梨さとりちゃんはどうしたんですか?」

「あのバカは行先になんて興味ないだろ。だから呼んでない。なに、どうせ暇なんだからどこへでも着いてくる」

 流石と言わざるを得ない先輩の強引な仕切りに感動しつつ、早速私たちは次の目的地を決めることにしました。


「鍾乳洞はもう行ったしなー。何かいい場所はないか」

 先輩が八崎さんに水を向けると、「あたし、無人島がいいです」と割と無茶な返しがきました。

「あー、無人島から手紙を瓶詰にして流すっての一回やってみたかったんだよなー」

 この人は放っておくと本当に無人島に行ってしまわれるので、私は多少なりとも無難な行先を提案しようと心に決めます。

「博物館なんてどうです? 昔の遺物を見て遠い過去の営みに思いを馳せましょう」

「お、伏木先輩にしてはほんのりロマンティックですね」

 八崎さん、なんか失礼なこと言いませんでした?

「ふむ、まあ悪くないんじゃないか。ついでに美術館も回ってみるか? どうせ皆余り行ったことはないだろう」

「あたしもそれでいいですよ」


 と言うわけで、ピトルスの次回の活動はミュージアム巡りになりました。無事に終わればいいですけど。

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