第2話 作戦決行

 少年はある建物の前についた。


 目的地だ。心臓の鼓動が高鳴る。

 どうしても壁に仕掛けられたスイッチを押す気になれないでいる。


 どれくらい時間が経っただろうか。虫の音と暗闇と建物の窓からこぼれる光で交錯していた。真夏の夜の奇襲、ほとんど自爆の危険を犯しての作戦だ。しかし逃げるわけにはいかない。この戦いに勝利しなくては未来はないのだ。額に汗が浮かぶ。


 何度も想定して訓練してきた音が心臓をつかむ。

 喉が渇き吐きそうだ、と彼は思った。

 そして少年はついに意を決して、震える手で壁に仕掛けられたスイッチを押した。

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